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「#エロ」のBL小説を読む
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16
杯戸公園に来ていたコナン、歩美、光彦、元太は、噴水の近くでサッカーを始めた。
すぐそばのベンチには蘭と園子と花恋、噴水の縁には灰原が腰かけ、ボールを追いかけるコナンたちを眺めていた。


「それにしても、私たちのいた競技場に爆弾が仕掛けられてたなんてねぇ······」


園子が事件を思い返すと、蘭は「そうだねぇ」とあいづちを打ちながら、コナンたちと隣にいる花恋を見た。
無邪気にボール遊びをしているあんな小さい子たちが爆発を止めて、何万人もの命を救ったのだ。
蘭は、少年探偵団はすごいなと改めて感心して微笑んだ。


「そういや、あれ、何だったの?」


ふと思い出した園子が蘭に尋ねる。


「え?あれって?」
「ほら、中学ンとき、新一君がふざけて蹴ったボールを蓮華がどうしたこーしたって」
「あ、ああ······」

(ふつー、今思い出す······?)


蘭と花恋は思い出して苦笑いした。
そのとき、元太がミスキックしたボールが花恋に向かって飛んでいった。


「花恋!」


コナンの声に振り返った花恋は、目の前に迫ったボールを、


『っ!はあ!!』


反射的に空手のように足を高く上げて蹴り返した。
花恋の正面に立っていたコナンの視界に、ひるがえったスカートの中が飛び込んできた。


「ピンクだ······」


思わずつぶやいた瞬間、コナンは中学のときのことを思い出した。
あのときも新一がふざけて蹴ったボールを蓮華が足を高く上げて蹴り返し、スカートの中が見えてしまったのだ。


「やだ、コナン君!」
「信じられません」


コナンのつぶやきに歩美と光彦が顔を真っ赤にした。
「ガキンチョが!」園子があきれると、「ピンクって?」ボールを蹴り損ねて転んでいた元太がきょとんとした。
「同じだ······」蘭が呆然とすると、噴水の縁に座っていた灰原が「······エロガキ」とつぶやく。


「あ、いや······これは······」
『コナン!』


花恋が顔を真っ赤にしてコナンをにらんだ。


「ご、ごめんなさい!」


コナンは慌てて謝りながら、


(ったく······サッカーできるんだからヘディングで返せよな。でも、ピンクか······)


と心の中でつぶやいた。


***


そんなことがあった数日後。
花恋は一つの小袋を持って真田と出会った公園に来ていた。
今朝、蓮華の携帯から真田に公園に来てほしいと送ったら了解の返事が返って来たので、渡そうと思ったものを急いで買って走って来たのだ。
事務所を出るときはコナンにどこに行くのかと問い詰められたがそれをするりと抜けて出てきたので、少し時間がかかってしまった。


(なんか最近コナン、過保護じゃない······?)


ただ真田と仲がいいというのが気に入らないだけのコナンのことを全然わかっていない花恋は首をかしげて息を切らしながら、真田がいるはずのベンチに向かった。
真田は花恋の姿を見た途端少し驚いたように目を見開いて花恋に駆け寄ってきた。


「そ、そんな急いでどないしたん······てゆーか蓮華ちゃん知らんか?ここで会う約束······」
『はい、蓮華姉ちゃんから。蓮華姉ちゃん、事件が忙しくて予定が空かなかったから渡してきてって頼まれたんだ』


残念そうに肩を落とした真田に苦笑いをしていると、


「お礼言いたかったんやけどなぁ······」
『お礼?』


首をかしげた花恋に真田は頷くと「この間のお礼や。応援してくれてたん、嬉しかったからな」と頬をかきながら目線をそらした。
花恋が「へえ」と笑うと、真田は頬を赤く染めて「これ、今開けてもええよな?」とプレゼントを開けだした。
中から出てきたのはリストバンド。


「これ······」
『蓮華姉ちゃんがこの間、応援に行けなかったお詫びにだって。それ蓮華姉ちゃんとお揃いなんだよ』


真田は嬉しそうに笑うとさっそく左手にリストバンドをつけた。


「これのお礼も言わなあかんな」
『後で電話してみたら?』
「せやな。ところで、この前の試合の時、オレの名前呼び捨てにしたやろ?」


ギクッと体を揺らした花恋は「さあ?」と視線をそらした。


「ほぉ······しらばっくれるつもりか?」


真田は顔を引きつらせると、花恋の頬を掴んで左右に伸ばした。
よく伸びる花恋の頬を面白そうに引っ張る。


『いひゃいいひゃい。いひゃいへふぁ』
「よく伸びる頬やなぁ」


十分堪能したのか真田はニイッと笑うと花恋の頬を離した。
やっと解放された頬に両手を当ててさすっていると真田が「ありがとな」と口を開いた。


「あのとき、応援してくれて。よぉ届いたで、あの声」
『当たり前じゃないですか、わざと大きな声出したんですから』


フフンと得意気な顔をする花恋に真田は「せやな」と笑う。
花恋は自分の携帯が震えていることに気づくと、画面を見て「ゲッ」と顔をひきつらせた。
真田が不思議そうに見ると、花恋は「わ、私帰らなくちゃいけないんで、帰りますね」と踵を返した。


「オレも帰らなあかんな。今回はほんまありがとうな」


後ろ手に手を振った花恋は、一瞬立ち止まると振り返って、


『蓮華姉ちゃんがカッコよかったって言ってましたよ!!』
「え!?」


二ィッと笑うと花恋は急いで公園から走り去っていった。
その後ろ姿を見つめていた真田は赤く染まった顔を片手で押さえるとしゃがみ込んで「はぁ···」と息をついた。
そして左手首についているリストバンドを見る。


「やっぱあかんわ。ほんま蓮華ちゃんには敵わんな······」






公園から毛利探偵事務所に帰る途中、花恋は先ほど携帯に送られてきたメールを見て顔をひきつらせた。

【さっさと帰ってこねえと、夜どうなるかわかってんだろうな?】

脅迫にも似たような文に花恋はため息をついた。

帰ったらコナンの説教か······。
てか、絶対貴大くんと会ってたこと知ってたな。





事務所に帰ったら案の定ドアの前にコナンが怖い顔で立っていてそこから二時間正座の説教コースがあった花恋は、もう二度とコナンには内緒でどこにも行かないと誓った。

まだ、ガミガミと続くコナンの説教に花恋は目に涙をためた。


(あ、足が······。いつになったら終わるのよ〜〜!!)

「聞いてんのか、蓮華!」
『聞いてるってば!』
_16/16
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