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十二月三日。
午後三時───。
毛利探偵事務所では目暮、佐藤、高木が小五郎たちと犯人の指示を待っていた。


「あ〜クソッ!」


沖野ヨーコが心配で仕方ない小五郎は部屋の中を行ったり来たりしてる。


「ねえ、爆発するのって、本当に汐留アリーナなのかなぁ」


ソファに座っていたコナンは、正面に腰かけていた目暮と佐藤に問いかけた。
「ん?」「え?」二人がキョトンとする。


「だって、ほら───」
「今さら何言ってんだ!」


部屋の中をウロウロしていた小五郎がコナンの隣にどすんと腰を下ろした。


「八万人以上集まるイベントが他にねえんだから、汐留アリーナに決まってんだろ!」


苛立っていた小五郎は怒鳴り散らすように言うと、腕組みをしてため息をついた。


「ったく、だからガキたちとJリーグ会館に行くか、蘭と花恋と一緒に出掛けろって言ったんだ」
「そういえば、蘭君と花恋ちゃんは?」


目暮が尋ねる。


「あ、花恋と蘭姉ちゃんなら園子姉ちゃんに誘われて映画を見に······」
「邪魔だからコイツも連れてけって言ったんですがねぇ」


小五郎がうっとうしそうにコナンを見る。
コナンはエヘヘヘと苦笑いした。


「それでコナン君?何か気になることでもあるの?」


話の続きが気になっていた佐藤が身を乗り出し、コナンは「うん」とうなずいた。


「今日はJリーグの最終節でしょ。コンサートと同じ日なんて、ちょっと気にならない?」


コナンはずっと引っかかっていたことを投げかけてみた。
佐藤が「確かに気になるわねぇ」と考え込む。


「偶然だよ、偶然!ったく、余計なこと言って捜査の邪魔すんじゃねえ!」


小五郎が叱りつけると、目暮が「いや······」と言った。


「ワシらも万が一を考えて警備を増強するよう要請してある」


佐藤の横に立っていた高木が壁の時計を見やった。


「確か、最終節のキックオフは午後三時半······そろそろ始まりますね」


***


東京スピリッツとビッグ大阪の最終戦が行われる国立競技場では大勢のサポーターが集結し、キックオフの笛が鳴ると大歓声を上げた。


「おー、やってるやってる!まだ始まったばかりだね」


メインスタンドの入り口から駆け込んできた園子と蘭と花恋は立ち止まり、ピッチを眺めた。


「ねえ園子、何で映画に行くなんて嘘ついたのよ」
『そうだよ、園子姉ちゃん······しかも私まで』


蘭と花恋が訊くと、園子は「え?」と振り返った。


「ああ、ゴメンゴメン。サッカー観に行くなんて言ったら、蘭のお父さんとガキんちょに止められると思って。ほら、花恋ちゃんもいるし。それに比護さんの勇姿が見られるのも今年は今日が最後なんだからね」
「もう······」
「行けーーっ!」


視線をピッチに戻した園子は、ビッグ大阪が攻めあがるのを見て叫んだ。


「ガンバレ比護さーん!!」


必死で叫ぶ園子の姿を見て、蘭と花恋は顔を合わせて苦笑いした。
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