まだ日が昇ったばかりの浅い時間に、ふと目が覚めた
歌が聴こえる
透き通った美しい声の歌だ
力強くて伸のある歌

きっと、いや絶対彼女の声だ
衝動にまかせて天幕を飛び出した

あの細い喉を通って、風に乗った旋律は本当に美しい
次第に近づく音色に胸が高鳴る
林を掻き分けて出た場所に、やはり彼女は居た

「やっぱり!ここに居たんだ」
「カムイ」

青く広がる小さな湖畔に佇み、ゆらゆらと揺れる淡い青の髪は、朝の光に照らされ輝いていた

「歌に誘われて」

続きを歌ってくれと言わんばかりに、ふてぶてしく隣に座り込めば、彼女はくすと小さく笑みを溢した




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