セクハラ上司のすゝめ
静かな執務室にはバリトンボイスとそれに相対するように子ども様な高い声がキャアキャアと響いていた。
「やーっ、鬼灯様離してくださいお仕事中ですよ!」
「上司の私が良いって言ってるのですから大人しくなさい」
執務室に居る鬼灯の元へ書類を届けに来た京子。
おいでおいでと手招きする鬼灯に誘われ近寄るとグイッと腕を引かれ、そのまま抱き抱えられると鬼灯の膝の上に座らされてしまった。
やすやすと簡単に抱き抱えられてしまうのも、京子が普通の鬼ではなく小鬼であるが故だった。
「人が来たらどうするんです!」
「見せつけてやればいい」
ジタバタと暴れる京子だが、鬼灯が腕を弱める気配は全くない。
それどころか、うなじに顔を埋めて更に密着してくる始末。
「京子さんはいつも甘い匂いがしますね」
「そ、そうですか?」
そして鬼灯は京子の髪の毛を指で掬う。
産まれてこの方染めた事がない髪の毛は痛む事もなく毛先までつやつやとしている。
「それに髪もこんなにフワフワで気持ちが良い」
「ありがとうございます…」
鬼灯にそこまで褒められて、正直悪い気はしなかった。
抵抗しなくなった京子に鬼灯の行動は更にエスカレートする。
「京子さんはどこも柔らかくて触ってて気持ちが良いです」
そう言うと鬼灯は京子のむにむにとした太ももを撫で回す
そのくすぐったさに京子は身を捩る。
「もう、子どもみたいって言いたいのですか?」
「まさかそんな事ありませんよ、子どもにこんな事はしません」
それもそうだと京子は一人で納得する。
鬼灯はと言うと、相変わらず飽きることなく京子の太ももをやわやわと撫で回す
そんなに柔らかいものが好きだなんてもしかして巨乳好きなんだろうかという考えが京子の頭を過ぎった。
「鬼灯様、私は小鬼ですからむちむちぼいんにはなれませんよ?」
「私は寧ろこちらの方が好きです。てゆうか京子さんが好きなんです」
きっぱりと恥ずかしがる事もなく断言する鬼灯に京子は顔を赤くさせる。
「…鬼灯様ってロリコンなんですか?」
「失礼な、貴女だからです」
「…気にしているのなら私の手で大きくしてあげましょうか」
「えっ、」
そう言うと鬼灯は間髪入れずに、申し訳程度に膨らむ二つのそれを服の上から触る。
「きゃっ、白昼堂々セクハラですよ!」
「では夜にでも私の部屋で…」
「そういう問題じゃありません!」
「ムラムラしてきました」
「やーめーてー!!」
これ以上するなら出て行きます、と告げると鬼灯は胸を触る手を止めて大人しく京子の頭の上に自身の顎を乗せ、改めて京子を後ろから抱きしめた。
「仕方ない、これで我慢しましょう」
「これでも充分妥協していますが」
早く仕事に戻らねばと思う京子だったが背中を覆う心地よい暖かさに、もう少しこのままで居ようかなと中々決心が出来ないのであった。
END
「貴女のせいで仕事が進みませんお詫びとして嫁に来なさい」
「なんて横暴な…」
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