君の体温に沈む

綺麗な人やな、と思た。
部長の隣に並んどっても、ケンヤさんの隣におっても負けへんくらい存在感があって。
所謂色男やった。
3年の教室の方に行けばいつも部長やケンヤさんと一緒におる。
見たことない顔やと思うとったら、最近来たばかりの転校生だという。
そんでもって部長やケンヤさんと意気投合したらしい。

季節が過ぎてくに連れて俺もその人と話す機会が増えていった。
弟みたいなモンやったと思う。
せやけど俺は先輩が好きやった。
いつも通り、一緒に帰っとった。



「なぁ財前」

「なんスか?」

「俺と付き合ってみない?」

「……は?」

「だから、付き合って?」

「…ええけど」



内心、嬉しくてしゃあなかった。
絶対ムリやと思うとった。
先輩は絶対ノンケやと思うとったし、俺なんか眼中にないモンやと思うとった。

やけど先輩はこの日から俺の“彼氏”になった。
それは紛れなく事実や。





また数日経った頃やった。
部活が休みの日、俺は先輩の家に呼ばれとった。
先輩の家は普通の一軒家で、部屋も普通。
居心地が良かった。



「先輩、」

「んー?」

「1個だけ聞いてもええ?」

「おう」

「なんで俺と付き合おうと思たんスか?」



前々からあった疑問。
先輩くらい顔が良かったら女でも男でももっと選択肢があったと思う。
先輩は寝転がっとったベッドが起きて俺を手招きした。
大人しく隣に座ったら、華麗としか言いようのない手付きで押し倒された。



「…凄い下らねぇ話なんだけどさ」

「…はぁ、」

「財前の事想像してヌけたんだよな」

「はぁ!?」

「顔真っ赤だな。…その時から財前が可愛く見えて仕方なくて、付き合ってって言った」

「……あっそ」



先輩に触れ合うだけのキスをされて目を瞑ると、可愛いと言われてしまった。
…最近女々しいとは自分でも感じとる。
先輩が相手やったらどうでもええと思っとる辺り、俺は重症や。
事実、先輩と一緒ならなんだってどうでもええし、ベタ惚れや。

柔らかく微笑む先輩に抱き締められたとき、先輩の事がもっと好きになった。








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