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「のんたん」
「わー!柏木先輩!七瀬先輩!来てくれたんだあ?」
「柏木がどうしてもっていうから仕方なくね」
「七瀬だって楽しみにしてたくせにね?」
ピークが少し過ぎた頃、柏木先輩と七瀬先輩が俺のクラスにやって来てくれた。
先輩達は簡単な展示をしているから当日は特にすることがないらしく、二人とも制服だ。
「先輩たちこっちー、…じゃないや」
いつもと同じように先輩たちを席に案内しようとしたところで俺は動きを止めて、こほんと1つ咳払いをした。
それからにっこりと笑顔を浮かべて、
「おかえりなさいませえ、ご主人様っ。こちらにどうぞお」
クラスの子たちに教えられたことを思い出して俺はその通りのセリフを口にして先輩たちを空いた席に案内した。
「のんたん、なんかそれ違う気がするんだけど…」
「それもそれで可愛いけどね」
そんな俺に先輩2人は苦笑して、俺が案内した席に腰を下ろすとメニューに視線を落とした。
メニューは飲み物はコーヒーや紅茶、ソフトドリンクも数種類用意している。食べ物は簡単なクッキーやケーキ、パンケーキなどが市販のものだが用意されている。
「のんたん、オススメを教えてくれる?」
「俺のおすすめー?んー、…チーズケーキ美味しかったよお」
「じゃあ僕はそれと紅茶にしようかな。七瀬は?」
「チョコケーキとコーヒーで」
「はぁい、かしこまりましたあ。少々お待ちくださいませえ」
2人から注文を聞いた俺は厨房スペースにそれをオーダーしに行き、また先輩たちの元に戻った。
勝谷先輩とかなちゃんが見回りをしていて、もう少ししたら俺のクラスに来るだろうと七瀬先輩が教えてくれたので、俺は勝谷先輩が来る前に去ろうと考えた。
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