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れんちゃんと別れた俺は休み時間になる前に生徒会室に戻った。
今日までの書類があるからね、終わらせなきゃ。
運良くれんちゃんや柏木先輩には気づかれなかったようだ。コンシーラーで隠した目の下の隈を。
「さて、さっさと片付けますか」
***
「ここが生徒会室か!!」
どれ程時間が経っていたのか、ざわざわと騒がしい音がしたので顔を上げると大きな物音と声とともにあの転入生が入ってきた。
...なんで。
俺が呆気に取られていると、転入生の後ろには会長副会長書記がいて、他にもスポーツ特待生の子や一匹狼として有名な不良くんもいた。
「あ!!おまえ誰だ!!」
「...えっと、会計の笹原だけど」
「下の名前も教えろよ!あ、俺は河合真知っていうんだ!」
「...あ、そうだ。風紀行かなきゃ」
目の前で喚くマリモをどう回避しようかと考えた俺は、口実を使ってここから抜け出すことにした。
まあ、風紀に用があるのはほんとだからね
「待てよ!!」
「っ、は、なしてくれない?これ今日までに持ってかなきゃなんないから...」
「途中でいなくなるなんて最低だぞ!!」
転入生はそんなことを言って俺の腕を掴んでいるけど、別に俺じゃなくてもいいと
思うんだよ。
ほら、後ろで会長たちが俺のこと睨んでるし。そっち行けばいいと思うよ
「...あ!」
俺は古典的な何もない方向を指差すという手段で、転入生の視線を俺から反らしてその隙に逃げた。
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