「そういえばれんちゃん、よく俺が部屋戻ってるってわかったね」


あれから俺たちはとりあえず一件落着して、ご飯を食べるために食堂に向かった。
寮のはまだ閉まっているため、学校の食堂だ。


「ああ、...ほら、おまえしばらく姿現してなかったろ?だから久しぶりにおまえを見かけたって生徒が情報撒き散らしてたんだよ」

「なにそれ、」


情報撒き散らすってなんか怖いんだけど...


そんなこんなで食堂に着き、扉を開けるとまだ昼休み前だからか空いていて、空き時間の教師やサボっている生徒たちが数人いるだけだった。


「のん、なに食う」

「...お茶漬けー」

「まあそれが妥当か」


水分は摂っていたとはいえ、ほぼ一週間何も食べていなかったわけでそんなにがっつり食える訳がない。ここは胃に優しそうなお茶漬けで我慢しよう。

空いているため注文した料理はすぐに運ばれてきて、俺の前にはお茶漬け、れんちゃんの前には牛焼き肉定食なるものが置かれた。


「うっえ、...れんちゃんどっか他んとこで食べてきて」

「は?」

「においで死にそう...」


空腹で限界を越えた腹に牛焼き肉定食の匂いは強烈で、それだけで一気に気持ちが悪くなってしまったのは俺のせいじゃないだろう。



「のんたん!」

「...あ、柏木先輩!」


俺のあだ名を呼んでやって来たのは、俺の親衛隊隊長の柏木文希先輩。
可愛くて綺麗で美人で、俺の親衛隊なんかに入ってなければ確実に親衛隊持ちの人。


「...元気そうでよかった」

「のん。先輩もおまえの心配してたんだから謝れよ」

「え?そうなの?...ごめんね、先輩」

「ううん、のんたんが元気そうで安心したよ。他の子たちにも大丈夫そうだって伝えておくね」


れんちゃんの言葉に俺が謝ると、柏木先輩は天使の微笑みでそう言ってどこかへ行ってしまった。あの人こそ真の天使だと思う。


俺の親衛隊、通称のんたんファンクラブは他のところとは少し違って結構フレンドリーなのだ。
まず俺のことは『笹原様』ではなく『のんたん』と呼ぶこと。
俺より先輩や同級生は俺に敬語ではなく普通に話すこと。後輩が敬語なのは仕方ないとして、過度な崇拝意識を持たないこと。


とまあ、和気あいあいと過ごしていただけなのに、なぜか俺は親衛隊をセフレにしていると思われているらしい。



 



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