「帰ってきたよ、ジャイロ」
欄干に身をもたせ掛け、キラキラときらめく碧い海を眺める。
さらりと優しく頬を撫でていく風は太陽の香りで、ジャイロの指とよく似ているな、とジョニィは思った。
「…君の故郷はとても綺麗だ」
彼の美しさはこの地だからこそ築かれたのだろう。
大胆でありつつ優雅な身のこなしも、自らの正義を求めつづける心の気高さも、彼の全てが本当に美しかった。

どこか別の世界の彼も同様で、そして、その隣にはきっと僕が居るのだろう。
その世界の僕も、ジャイロに導かれ、伝えられ、生きる希望として、彼を見つめているのだろう。
もしかしたら今まさにこの場所で、二人並んで海を眺めているかもしれない。
レースの苦労を語り、互いを讃え合い、隣にある確かな温もりに身を委ねているのかもしれない。

「…なんて、そんなこと、」
はらりと水滴がジョニィの頬を伝い、海にとけて消えていった。

「僕は君が羨ましいよ、ジョニィ」

白昼夢でもいい、もう一度君に



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