Oh!My Panty!
 

ある日の放課後、6時間目に使用した視聴覚室に筆箱を忘れたことに気が付いた俺は取りに行こうと一人急いでいた。

くっそーなんで視聴覚室に忘れたかな!ていうか視聴覚室開いてんのか?
開いてなかったら教員室に鍵を取りに行かねばならないなぁと思い、もしや先に教員室に行って鍵を確認すればよかったなどと後悔しつつ、視聴覚室へ向かって走っていた。


視聴覚室はいわゆる特別教室の一つであまり使われる機会もなく、校舎の三階、さらに階段からは一番遠い奥の方に位置していた。

遠くて焦れったい、明日の朝にでも取りに行けばよかったかもしれない、いやでも朝はいつもギリギリだからなどとそのときの俺は考えていた。
結果的に考えると、このとき俺はなぜ朝に取りに行くという選択肢を選ばなかったのかと後悔した。


ガラリと教室のドアを開け誰もいないものと思っていたが教室の真ん中の方にどうやら誰かいるらしい。

電気は付けておらず、窓から差し込む夕陽のオレンジ色の光ではそれが誰かまでは即座に判断できなかったが、骨格からして男だろうということは判断できた。


徐々に目が慣れてきてそこにいたのが学園や他校などからも美形と騒がれている二年生、宮城雅史先輩だとわかった。
宮城先輩はこちらに真っ直ぐと目を向け、微笑んでいた。
その微笑みに、何故か心がドキリと跳ねた。


学年も違うことから全く会話もしたことなく、これからも普通に生活していれば話すこともないであろう先輩に俺はなぜか声をかけていた。


「あ、あの、宮城先輩、ですよね…俺、」

そう言いながら宮城先輩へと徐々に近付いた。
そこでふとある異変に気が付いた。



「あ、あれ、先輩なんで……?」
「どうしたの?」

「なんで下、履いてないんすか……?」


先輩はなんと学校指定のグレーのスラックスを身につけていなかったのだ。


「え、あ、いじめとかっすか!?」
「違うよ、全然違う」
「違うん……すか?」
「もっと、もっと近くに来て」


多分きっとこのとき近寄らずに逃げていればよかったのだ。ただ、先輩の俺を見つめる瞳に吸い込まれるように俺はフラフラと先輩の方へと近付いた。


「あ、あ、せん、先輩、そ、それって……!」
「そう、どうかな?」
「えと、その、あの……!」


近寄った先にあったものは女性ものの下着だった。
先輩は男が身に付けるような下着は身につけていなかった。
代わりにサイドをリボン結びしてレースがふんだんに盛り込まれている可愛らしい女性物の、ピンクの紐パンをしていた。


「見られちゃった」


語尾にハートが付きそうなぐらい楽し気で、誰もが見惚れるような笑顔を浮かべる先輩はどことなく興奮しているように見えた。


「俺ね、他人に見られるのが好きなの」
「え、え」


はぁと興奮しているのか息を荒らげながらじりじりと先輩の方から近寄ってきた。俺は金縛りにでもあったかのようにその場から動けず、先輩の目をじっと見つめ続けることしかできなかった。


「誰かきてくれないかなってずっと思ってた、そしたらこんなに可愛い子がきてくれるなんて思いもしなかったな」
「か、可愛い……?」
「うん、君は可愛いね、可愛いよ、名前は?」
「あ、秋川悠吾、です」
「悠吾か、一年生?」
「あ、はい……」


答えなくても良いし、むしろ答えない方がよかったはずなのに先輩からの質問に俺は丁寧に返していた。
先輩はその間にも距離を縮め、気付けば俺の目の前に立っていた。


「ひっ……!」
「怯えないで、何もしてないじゃないか」
「そ、そうですけど……」


頭のどこかで逃げろって警告音がずっと鳴っていた、でも俺はそれに従えずにいた。何故だかわからないけど、身体が動かないままなのだ。



「捕まえたよ、悠吾」

そういって宮城先輩は俺の頬に手を添え、ちゅっと触れるだけのキスをしたーー……。


END


秋川悠吾(16)
童貞。偶然にも先輩の下着姿を見てしまい気に入られたがために先輩の餌食に。彼女が欲しいと思いつつもずるずると先輩の相手をする。

宮城雅史(17)
イケメン露出狂。他人に見られることに快感を覚える。基本女物の下着を身につけている。学園では品行方正な優等生で通っている。


これはひどいと思いつつ二人はきっといい関係になると思うよ。



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