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試合が進んでいくにつれ、外部の人間が詰めかけるようになった。知らない人がいーっぱい。憂鬱になるね。どうやら巻き込まれているハリー・ポッターもとりあえずは勝ち進んでいるらしい。どこから情報って新聞と、目の前の双子です。何故だ。去年まではこの双子に城内どこにいても、見つかっていた。ヴァルが来たくらいから、そうでもないけど。
たーだ、代わりにこの用務員室に突撃するようになった。

「とゆうことで、我らが英雄は只今奮闘中である!」
「なんと勇ましい!」

身振り手振りの激しい説明は終わったらいし。今年は用務員室にいることが多いから、捕まる頻度が格段に増えた気がする。苦手だけど、まぁ、お茶くらいは出すし。

「解説どうも。髭はもういいの?」
「昔の失敗を掘り返すとはなんと無粋な」
「だが、それより我らの話を覚えてくれたことに驚いた」
「さすがに、あの顔は忘れられないわー」

まずいな。要らない地雷踏んだか?やけに双子が嬉しそうな顔をする。どうしてここまで懐かれたんだか。一応私、彼らを処罰する立場なんだけどなー。生徒の中でここまで私に関わろうとする(というか、私に気付く)なんて、この双子くらいだ。フィルチ先生も大変だろうなー、と他人事に思う。

「とゆか、君たちスネイプ教授がいるかもしれないのにここに来るって勇者だよね」

忍びの地図って便利だけど恐ろしいわ。誰が誰と一緒にいるかばれてしまうのだから。双子が私に興味を持つきっかけも、セブと私の名前が時々一緒にいたからだし。おーこわ。まだ残ってるとは思わなかったし。今は別の人物が地図を持っているらしいけど、持ち主は知らない。この双子は苦手だ。地図を作った四人を思い出すから。

「危険があるからこそ」
「挑戦したいのさ!」
「さすがグリフィンドールで」
「「お褒めに預かり光栄の至り!」」

勇敢なのは血筋なのかなあ。情がわいてしまう自分に苦笑いしたい。生きてほしいと願っても、私は二人に何もできない。私は知っているのはたった一人の最期だけだ。二人もなくすかも知れない、と思うのがこわい。知れば、冷静でいれないだろうと、わかっているから。だから、

「危ないこともほどほどにねー」

と、いうだけだ。大したことを言った覚えはない。なのに、二人に目を丸くされた。本当にそっくりだね。

「俺たちに声をかけてくれるなんて!セシル先生寂しくなった?」
「いくら引きこもりの先生でもまさかダンスパーティーまで欠席するとは思わなかったんだぜ」
「「パートナーがいなかったのか!」」
「君らね…」

どうやら彼らなりに気を使ってくれたらしい。要らん方向に。ダンスパーティーは自主欠席したんですー。ムーディ先生確実にいるし、あんな外部の人が大勢いるような広間には行きたくない。教授を誘おうとも誘われようともしてません、えぇ本当に!

「先生ももっと表に出れば相手見つかるって!」
「そうそう。あの根暗教授なんかより」
「黙らっしゃい!」

最終的に話題がこっちに流れるのは如何なものか。返答も変わりないんだけどね。不満たらたらの二人が去ってから、肩から力を抜く。空になったカップを眺めながらんー、と伸びをする。



『やっと静かになったな』

隠れていたヴァルヴェルデがひょっこりと顔を出した。蛇顔なのに疲れが見える顔がちょっとかわいい…とか思ってしまったのは内緒。


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