それは運命と言う名の...


暗い牢獄のような薄汚れた部屋。手錠をかけられ体育座りで部屋の隅にうずくまる私。第三者から見ればさぞ哀れな少女の図の完成だろうな。でも実際私自身そんな図は問題じゃない。今一番の問題と言えば...



「は、はらへり〜....。」



空腹で死にそうだった。思えばここ三日間何も口にしてない気がする。あ、見張りの人の携帯ソーセージ(チーズ入り)無理矢理奪って食ったか。いやいやいや!!育ち盛りの私にはあんだけの食べ物足りないに決まってんでしょ!

あんにゃろ!捕まえるのは別にいいけどね、1日三食はちゃんと出せよ!こっちは大人しく捕まえてられてやってるのにさ!あれ、捕まってること自体問題だよね....。


私の思考がずれてきたところで急な爆撃のような音と振動が響いた。当然、私のいる部屋もすごい揺れが襲ってくる。

おいおい!どうなんてのさ、この船は!?なんかの襲撃でもあった!?マジでやめてよ、こんな手錠かかった状態で変な人に会ったら私の身の危険MAXじゃん!「あーれーおやめになってー!」「へへへ、よいではないかよいではないか。」って状態になったらもうお嫁にいけない!!



「って、うわっ!!」



もう一度大きな振動が来て、思わず私は尻餅をついた。



「あたたた....もう!何なんだー!...あり?扉が開いてない?」



鍵がかかっているはずの扉が今の衝撃のせいか開いているではありませんか。これは神様が私に「お逃げなさ〜い。」と言っているのに違いない!そうに違いない!

私は手錠をかけたまま部屋を飛び出した。もうあんなかび臭い部屋なんかゴメンだね!



「逃げ出せたのはいいけど....いいけどさ〜....この状況何ぃーーーー!?」



久しぶりのシャバの空気DA☆ZEとか思ってるのもつかの間、何故かこの船はあちこち爆撃されたような跡があり、黒い煙をあげている。

え?ちょっとこの状況は笑えないよ、うん。やだな〜これだからやんちゃな子は手がつけられなくてさ。学校の先生が苦労するのも分かる気がするよ。大体、春雨とかふざけた名前名乗ってるからこんなことになるんじゃない?あ、関係ない?



「あ!お前!いつの間に逃げ出した!?」

「うわっ!ヤバッ!」



ごついワニ型の天人に見つかって思わず逃げる。ワニも追いかけてくる。へっへへーん!逃げ足だけは速いんだよコンチクショー!

が、調子に乗ってたせいか、手錠をかけたままだったため走りにくかったせいか、私がマヌケだったせいか思い切り前のめりにこけた。そりゃもう顔面からね。このビューチフルなお顔がつぶれたらどうすんだ!



「こ、こっちくんな!そして見るな!きゃー誰か助けて!ワニが私を陵辱しようとしてるーー!!」

「こ、コラ!誤解を招くような発言すんじゃねぇ!第1お前みたいな貧相な餓鬼の相手なんかこっちから願い下げだ!」

「うおぉい!!失敬な!お前なんか皮はがされてブランドバックの素材になればいいんだっ!そんで香水臭いセレブおばさんに使い捨てられればいいんだっ!」

「何の話っ!?と、とにかくてめぇは売りモンなんだ。大人しく捕まりやがれ。」

「やだーーー!!売られてたまるかーー!誰かぁーーー!!」



必死に声を張り上げて抵抗する。すると髪をつかんで引きずろうとするワニがいきなり「ぐわぁっ!」となんとも雑魚キャラがやられる声を出しながら倒れた。呆然とする私の後ろから知らない男の人の声。



「おいおいおい、婦女暴行はいけねぇよ。お嬢さん、大丈夫か?」



目の前には眩しいほどの銀色。
嗚呼、もしかしてこれって....。



それは運命と言う名の...

*ちなみに春雨騒動の話。
 

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