愛は性別を超える


「な、な、なんじゃこりゃぁぁぁぁーーーー!!!」



清々しい朝日が降り注ぐ日。突如、万事屋に響いた女の叫び声と思いがたい私の叫び声。

普通ならここで「どうしたっ!?」とかバタバタとかけつけるはずだよね!?なんで、誰もこねぇんだよ!?銀さあぁぁん!?神楽ちゃあぁぁん!?



「涼子ど〜したネ...。朝っぱらからうるさいアル。」

「んだよ...るせぇな〜おめぇは朝でも静かにできねぇのか...。」

「そりゃ私だって朝は寝ぼけながら起床して歯磨きたかったわ!!でも、見てよ!この姿!!」

「「んあ?」」



私の姿を寝ぼけ眼で凝視する寝癖の半端ない銀さんと、涎の後がついている神楽ちゃん。



「....別になんともねぇだろ。」

「涼子はいつだって変人ね。」

「いやいやいやいやいや!!!注目するところそこじゃないし、よく見てっ!!というか声を聞いて違和感もってよ!?そりゃ読者には声なんてわかんないからアレだけどさ!もっと姿をよく見てっ!」

「ん〜〜?そう言われてみればなんか涼子少し背伸びたアルか?寝る子は育つっていうネ。」

「うん、気づいてくれてありがとう!!でも、その感想はちょっと違うからぁ!!」

「心なしか身体もごつくなってね?まあ、お前は変態だからしょうがないけどよ。」

「銀さんにいたっては全ての感想においてちっがぁう!!」



中々ピンポイントで突っ込んでくれない2人にやきもきしながら地団駄を踏んだ。
この2人実は気づいてて、抜けたこと言ってんのかぁ!?それとも素っ!?こんな時だけ頼りになるのは....。



「おはよ〜ございま〜す。銀さん達起きてますかぁ〜?」

「新八くぅーーん!!」

「おわっ!いきなり抱きつかn...って誰だアンタァァァァ!!!???」

「そのツッコミを待ってたよぉぉ!!この2人全然つっこんでくれないんだもん!!どーしよこの姿!?」

「な、なんでそんな男の人の姿になってんですかぁぁ!?」

「私だって知らないよっ!起きたらいきなりこんなんになっててさぁ!!」

「あーなんか違和感あると思ってたらそういうことか。」

「私も何かおかしいと思ってたネ。」

「「納得。」」

「遅いわあぁぁぁぁ!!!!」



騒ぐ私を新八君がなだめて、取りあえず緑茶を飲んで落ち着いた。やっぱここの原産地のお茶はうまいね〜。



「で?おめぇはなんでそんな男の身体になってんだ?」

「だからわかんないんだって。起きて歯を磨こうと洗面台の鏡見たら顔つきがなんかいつもと違ってさ、おかしいなって思って身体触ってみたら...その....ね、下半身に違和感...が...。」

「なんネ?タマでもついてたアルか?」

「うわあぁぁぁ!!!神楽ちゃん言わないでぇぇぇぇーーー!!もうヤダァァァ!!こんな身体になったら銀さん愛することも妻になることも夜の営みもできないじゃないかぁーーー!!」

「いや、全てのことにおいて俺は否定するぞ。にしても原因がわかんねぇ以上戻し方もわかんねぇな。」

「確かにいきなりですもんね。涼子さん何か拾い食いとしてませんか?」

「私は犬か何かですかっ!?別に拾い食いはしてないけど、昨日総悟からお饅頭貰ったな。ちょっと変わった味したけど...。」

「「「それだぁ(アルッ)(ですねっ)!!!」」」



ハモって指さす万事屋トリオ。あ〜総悟の奴がねぇ....総悟が原因ねぇ.....あの野郎っ!!どうりであの時ニヤニヤしてやがったのか!!



「どうしよ〜....こんな身体じゃ銀さんと付き合えないじゃないか....って待てよ。世間一般ではBL、ホモ、ゲイという物がありますよね?ありますよねっ!?つまり愛に性別は関係ないっ!しかも男になって力もいつも以上に力がわき上がってきてますよぉぉ!!と、いうわけで銀さん!や・ら・な・い・か?

「ふざけんなぁっ!何が悲しくて男とヤらなきゃいけねぇんだ!?」



銀さんの意見は聞こえませーん!!と、いうわけでいただきます!!
私は逃げようとする銀さんを押し倒した。



「や、やめろぉぉぉ!!お、犯されるーー!!てか、なんで俺男なのにこんな目にあってんのぉぉ!!」

「銀さん、あきらめてください。ムフフ...男って力業できるからこれはこれでいいかも。」

「お前ついさっきまで男の身体嘆いてただろっ!?新八っ、神楽っ!見てねぇで助けやがれ!!」

「人の恋路を邪魔する奴は馬に蹴られて死ぬってことわざあるネ。」

「銀さんスイマセン。僕関わり合いになりたくないです。」

「あれま、なんだか面白いことになっていやがりますねぃ。」



私達は声のする方へ視線をやりピタッと時が止まったように静止した。そこには言わずもがな、この事態の元凶とも呼べる男があっけらかんと立っていた。



「てめぇドS野郎、何ノコノコ万事屋に上がり込んでるアルかっ!?さっさと屯所に帰るヨロシッ!!」

「るせぇチャイナ。てめぇに用はねぇでさぁ。涼子、解毒剤もってきやしだぜぃ。」

「解毒剤っ!?その何かグツグツいってる緑色の液体飲めば女に戻れんの!?」

「沖田くぅーーん!!早くその薬この変態馬鹿に飲ませてぇぇ!!俺、もう御婿にいけない身体にされるぅぅぅ!!!」

「あれ?旦那。もしかしてそっちの趣味がありやしたか?早く言ってくれりゃ〜俺の知り合いにそういう奴わんさかいりやすが、今度紹介しやしょうかぃ?」

「どこをどう見ればそんな風に見えるんだこの野郎っ!!どう見ても俺が無理矢理犯されかかってんだろうがっ!!」

「冗談でさぁ。ほらよぃ、涼子。」



投げ渡された怪しげな解毒剤をまじまじと見てみる。え?これ本当に解毒剤?なんか解毒剤ってさ、ポー○ョンとかライ○ボトルとかエリ○サーとかみたいに透明で透き通った液体だよね?これ濃い緑色してるよ?グツグツ言ってるよ?「俺を飲むと死んじまうZE!」ってい言ってるよ。



「ん〜別に私このままでもいいから、飲まなくて良いよね?」

「ふざけんなっ!お前が男のままだと俺の貞操の危険だっ!さっさとの・み・や・が・れ!!」

「ふごっ!!?んぐっんんんん〜〜〜〜〜!!!」



無理矢理銀さんに緑色の液体の入った瓶を口に突っ込まれ強制的に飲まされた。
うっわ!!まじぃ!!何コレ!?青汁よりかも苦いっ!胃の中の物が逆流する〜!口からイルカの大ジャンプ!!



「ど、どうせ飲むなら...銀さんの口移しがよかった....って、あれ?元に戻ってる?」

「あ、本当ですね。いつもの涼子さんです。」

「おいサド野郎。涼子に何食わせたアルか?」

「知り合いの奴が性別が変わる薬を開発したんで少し分けてもらったんでさぁ。その薬、摂取してから丸一日過ぎると元に戻れなくなりやすから、様子を見に来たんでさぁ。俺が来てよかったねぃ。まさかマジで変わってるとはさすがに思わなかったぜぃ。」

「お前の知り合いにロクな奴はいねぇな。ま、これで俺の身の危険は過ぎたわけだ。」

「ちょっと残念な気もするけど...。てか、なんで私に試すのさ?」

「疑いもせずに毒入り饅頭食う奴なんて涼子しかいねぇからでさぁ。まんまと引っかかってくれおもしろかったぜぃ。」

「この野郎っ!!何気に私のこと馬鹿にしてんなぁーーー!!そこになおれ!!」



こうして騒がしい朝は過ぎていくのであった....。
その後銀さんからのガードが堅くなったのは言うまでもない。残念!



愛は性別を超える

(あ、土方さんにも毒盛ってたの忘れてやした。)
(.....え?)
 

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