「さぁ満塁のピンチ。しかしピッチャー志波、ツーストライクまで追い込みました」
「……」
「緊張の一球…」
「……っ!」
「投げました!……ストライク〜〜バッターアウト!志波投手、見事なストレートです!」
「…何処にバッターがいるんだ」
「白と赤のユニフォーム着た10人の猛者達、一人多いけどね」
「じゃあ全員デッドボールで失点だな」
「違うよ、全員タッチアウトで3イニング位一気に終了!」
「…ルール完全に無視か」
「さぁここでピッチャー交代です、大きく振りかぶ…ってぇ〜…」
「おい、ボーリングの玉無理して上げるな。危ないぞ」
「大…丈夫…えいやっ!」
ガコン
「ガーターか……ワイルドピッチで1点入れられたな」
「くぅ…何も考えずに投げたのがいけなかったんだよ!こういうのは願掛けとかをして…」
「願掛け?」
「次でスペア取れたら……アナスタシアの限定新作ケーキゲット!」
カコーンッ!
「やった〜!ほらね!」
「…そんなんで効果あるのか」
「はっ、新作ケーキ…お腹が…」
「逆にもっと食う位がいいって言ったろ、気にしすぎだ。…よし、次はオレの番だな」
「いざ願掛けだよ!まぁ志波くんならしなくてもストライク取れちゃいそうだけど」
「いや…効果があるなら試してみるか」
「何お願いするの?」
「ストライク取れたら……」
(今日こいつが家に泊まる…!)
ガコン…
「あちゃ〜ガーター…珍しいね」
「……邪念が多すぎたか…」
「邪念?」
「よし、次…スペア取れたら……」
(こいつが帰りに家による…!)
ポクッ
「あ〜一本だけ!でもこれもある意味すごいよね」
「……だいぶ譲歩したつもりだが…ダメってことか…」
「志波くん…何お願いしたのか分かんないけど落ち込まないで!ただのおまじないみたいなものだから!」
「……ああ…」
「…そうだ!今日家によってって!昨日シュークリーム作ったの。いっぱいあるから食べてって、ね?だから元気出して?」
「……一応、叶った…のか?」
「シュークリームが食べたかったの?」
「あ、いや……ああ、そうだ」
「なんだ〜言ってくれればよかったのに、持ってくればよかった」
「……でもこいつの家だと何もできねぇな…」
「ん?」
「…シュークリームが食いたくて仕方ない」
「あはは、じゃあ早く行こうか」
「…ご馳走さん」
「お粗末様でした。差し入れの練習だったんだけど、どうだった?」
「差し入れの…サンキュ、うまかった」
「よかった、今度持っていくから楽しみにしててね!……さて、ここで問題が…」
「ん…?」
「明日の行く場所が全く決まってません」
「ちゃんと考えてたのか…昨日今日はどうやって決めたんだ?」
「去年を思い返してたら今日までの三ヶ所は浮かんだんだけど、他にどこがいいか迷っちゃって…」
「どごでもいいぞ、おまえと一緒なら…」
「へへ…でもやっぱり志波くんが行きたい所に連れていってあげたいんだよね…」
「…じゃあ明日の行き先はオレが決める」
「え、行きたい所あるの?」
「今日行きたくなった場所がある、それでいいか?」
「うん、もちろん!どこにいくの?」
「…明日まで秘密だ」
「う〜ん気になる…わかった、じゃあ明日楽しみにしてるね!」