翔樹君かろ意味深なアドバイスを貰った


『……?』




でも、私には何のことだかサッパリ分からない

あの兄妹は意味深なアドバイスばっかりだな…

どうせならもっと分かりやすく教えてくれれば良いのに…




『…あ、そだ学校行かなきゃだ』




早く行かないと葵が寂しがる…訳無いか
翔樹君の彼女の事教えて上げよう!




『…え………。』



クルリと方向転換して、動きがピタリと止まる



「…よォ」



なんとそこには、沖田君の姿が……



『……ども…』




バツの悪そうな顔で私を見ている沖田君に
何で此処に居るんだとか、そんな事を考える余裕が私には無くて…




…もしかして…さっきの翔樹君との話、聞かれて…た?



「咲夜ちゃんはもう少し周り見た方が良いかもな…」




…しょ、翔樹クゥゥウン!?
周り見た方が良いって…そ、そう言う事ォォオ!?


え、つまり後ろに沖田君が居ること気付いてたってこと!?

分かってて私に沖田君の事言わせたの!?




『………。』


「………。」



う、嘘ついてるのバレちゃったかな…?

き、気まず過ぎてどうしたら良いのか分からなくて、ピクリとも動けない


…と言うか顔を見れない




「月城…お前」


『ッ!!…………え?』



嘘を付いていた事を攻められると思って身構えると、私を攻める言葉は聞こえて来ず

何故かポンポンと頭を撫でられた



『…沖田、君?』



真意が読めずにいると、心なしかいつもより優しい表情で私を見る沖田君がいた



「…良く頑張った」


『?』




それ以外何も言わずに、ただ頑張ったと言って頭を撫でる


……?




『沖田君…?ど、どうしたの?』


全く状況が理解出来ない私は、恐る恐る訪ねた

今私を攻める事はあっても、誉められる様な事は何1つしていない



そんな私を見て、沖田君は呟いた



「…笑ってたから」


『……え?』



「笑って、見送ってたから…」



『………』




あァ、…分かった

…沖田君は私を勘違いしてるんだ



沖田君は…私が、翔樹君に彼女が居る事を知っても
その場で泣いたり悲しんだ顔をせずに、笑っていた私を…頑張ったって誉めてくれてるんだ



やっぱり沖田君は優しいな……



『………』



なのに私は、沖田君に何1つ本当の事伝えて無いんだって思うと


今の沖田君の優しさが、凄く苦しい


…今の私に、沖田君に優しくして貰う資格なんて何処にも無い




…………ポロリ


そう考えると、涙が出た



それは泣きたく無いと堪え様としても止まらなくて、反対に次から次へと流れ出る


どんなに頑張っても、止まらない




「泣いても構わ無ェ…」



そんな私に、尚も優しい言葉をくれる沖田君

もし、私が泣いている本当の理由を知ったら何て思うだろう…?


やっぱり嫌われちゃうのかな…、




『……ごめ、ッ…なさい…、』



「?」



なんて言えば良いのか、何を言いたいのか分からなくて、只々ごめんなさいと言う言葉を繰り返す




「…大丈夫でィ、あんな男より良い奴くらい直ぐに見付かる」



『…ッ、違ッ……』



少し抱き寄せて背中をサスりながら言う沖田君

違うと言いたいのに上手く言葉に出来ない


…苦しくて、仕方ない





「大丈夫…」


『違うッ!』


「!?」





苦しくて仕方が無くて、つい沖田君を突き飛ばしてしまった


一瞬よろけた姿に、沖田君の驚いた顔を見てハッとする





『…あ、…ご、ごめんなさい!』



「ちょ、オイッ!?」




訳が分からなくなって、思わず私は沖田君とは正反対の方向に走って逃げ出した




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