〜〜♪


『……』



〜〜〜♪



『…ん……はい?』



着信音で目が覚めた
画面を見ると【葵】の文字



「あ、もしかして今起きた?」



『…うん、どーしたの?』



「どーしたのはアンタでしょ、今何時だと思ってんの」



『んー…あ……。』



10:35



寝 坊 し た !!




電話越に葵のため息が聞こえる



「何時くらいに来る?」



『えっと…お昼休み!』




今からだと頑張れば4限目には間に合うけど
あの途中で入ってみんなから見られる感じが凄い嫌だ

気付いたら居ましたって言う空気で行く為に、今日はゆっくり寄り道しながら行こう



「ん、わかった。じゃ後でね」



電話を切って準備を始める

共働きで起こして貰えないのはこういう時不便だな…



ご飯を少し食べて用意を済ませる

最後に鏡でチェックして…よし、行くか!




『今日は別の道で行こっかな…』




いつも同じ道だと飽きるし…ちょっと冒険してみよう!



いつもは右に行く道を今日は真っ直ぐ行ってみる
まァもし迷ったら誰かに聞こう




いつもと道が違うからか、知らないお店をちょくちょく見掛ける


興味を惹かれる店を幾つかチェックして、今度行こうと心に決めた




「咲夜ちゃん?」



『?…え、翔樹君!?』



呼ばれて振り返ると、なんと翔樹君がいた




「今から学校?」


『…寝坊しまして』



アハハと苦笑いする
まさかこんな所で会うとは思って無かったからビックリした


…ちゃんと鏡でチェックして来て良かった


相変わらずのイケメン翔樹君は、バイトに行くって訳では無さそう




『翔樹君はどこ行くの?大学?』


「俺はこれから彼女と買い物」




最近新しい彼女が出来たらしい翔樹君はとても笑顔だ

今日は大学が休みだからこれからデートって…



『良いなァ』



思わず本音が出てしまった
しかもこんなイケメン彼氏って彼女さん幸せ者だな…




「咲夜ちゃんも彼氏いるじゃん」


『え?』



いきなり訳の分からない事を言い出す翔樹君

私にいつ彼氏なんて出来たんだ?



「こないだ店に一緒に来てたじゃん」



『こないだ…?』


こないだ、こないだ…こないだって…!
もしかして沖田君の事!?



「違うって言ってたけど、あれ彼氏だろ?」



『か、彼氏!?』



そ、そんな素晴らしい感じに見えたの!
嬉しい!…じゃ無くて、



素直に喜んじゃったけど!



『ち、違うから!』



そうなってくれたら嬉しいって言うか、幸せだけど!



「…ふーん、ま、頑張れよ!」


元気付けるようにポンポンと頭を撫でてくれた



『…うん』



…ヤバい
なんかニヤケる


思わず撫でられた所を触ってしまう

それだけで頑張ろうと思うから不思議だ
…翔樹君パワー恐るべし




「…あ」


『え?』


「なんでも無いよ」


『?』



何故か微笑んで言った



「咲夜ちゃんまだ時間大丈夫?」


『?大丈夫だけど…?』



そう言うと何故か微笑んだまま応えない


『?』





そのまま少し2人で歩いて行く


『そう言えばいつの間に彼女さん出来たの?』



葵が前に別れたとか言ってた様な気がする

…翔樹君がフったのかな?





「あー…俺がまだ前の彼女引きずってた時に、色々相談とか聞いて貰って…んでいつの間にか」



『好きになったと、』


「まァそんな感じ」



笑って言う翔樹君は、ムリしてる感じは無くて

今は、本当に今の彼女さんが好きなんだなーって伝わってきた



『…ってノロケか』


「え、俺何も言ってないんだけど」




ポカンとした顔で言う翔樹君は、葵とは結構逆の性格なんだなと改めて思う


なんと言うか…笑った顔とか困った顔が子どもっぽくて可愛い

逆に葵は、雰囲気が大人っぽいし、しっかりしてる




『翔樹君はもっとしっかりした方が良いと思うな』


「…何だそれ、こう見えても彼女の前では結構しっかりしてるから」



フフン!とドヤ顔満載で言うその顔には、やっぱり説得力が欠けている





「残念、咲夜ちゃんが俺の彼女だったら分かったのになァ」



『!!』




ふざけで言った何気ない言葉に一瞬ビクリとする


冗談なのはわかってるし、今好きな訳でも無い

…けど、やっぱり翔樹君は特別で、憧れの人で、

不覚にも一瞬トキメいてしまった



でも…



『…残念でしたァ、今好きな人いるから翔樹君とは付き合ませーん』



「残念でしたー、俺も彼女が好きなんですゥ」



トキメいたけど、やっぱり違うな


それが分かって、こうやって笑って話せて…それが嬉しい




「やっぱ好きなんじゃん」



さっきまでのフザケた笑顔じゃ無くて、優しい顔で笑って言った



『…ないしょ!』



それにつられて私も笑う




「へー…ま、良いけど」



じゃあ俺はコッチだから、と言って私とは別の道に行こうとして動きが止まる




「そー言えばさ、」



『?』



「咲夜ちゃんはもう少し周り見た方が良いかもな…これアドバイスだから!」



じゃあと言って、今度こそ足を進めた




『…?意味が分からん…』





私が後ろを張り替えって、
その意味を知る5秒前



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