「おかえり、携帯あった?」



『ん、あった…』



「…?どうしたの?」




不思議そうな葵の机にグダァ〜と倒れこむ



『う゛〜…ダメだ………』



「?」



思い出すのはさっきの屋上のシーン


沖田君が中沢さんに言った事だって分かってる



…けど、それはそのまんま私にも言える事ばっかで……






「…俺アンタの事知らねェし、つーか何でロクに喋った事無ェのに好きとか思うんでさァ」






もし、私があの時あのまま告白してたら
私も中沢さんのように言われたのかな…



『……』



そしたら私は、どうしたんだろう…


あんな冷たい声で面倒そうに言われたのかな…





「なに?どーしたのさ?」



『んー…やっぱり私って駄目だなって思って』



「何かあったの?」



『う〜ん…さっきちょっとね…』






心配してくれる葵にさっきあった事を伝えると、
驚き半分納得半分の様な顔をした







「まァ沖田君の気持ちも分からない事も無いけどね、」



『…う゛〜ん』




確かに、大して親しくも無い人からいきなり告白されても困るっちゃ困るだろうけど…




『もう少しぐらい優しくフっても良かったのに…』



あんなの中沢さんが可哀想だ




「優しくフって、まだ相手がしつこく諦め無いよりは良いんじゃない?」



確かに1度フられても諦めなかった中沢さんが、普通に2度フられたとしても諦め無いかもしれない…


でも…やっぱり言い方は考えなきゃだと思う




「感情移入」



『え?』




「今自分を中沢さんと重ねてるでしょ」



『べ、別にそんな事…』


「………」





葵のジッと見つめてくる目は何だか苦手だ

逃げられない気がして困る




『…す、少し』




無言の圧力に勝てなかった私は降参してしまった


だって分かるんだもん…

同じ沖田君を好きなんだから、その人に冷たくされたら私だって泣いてしまうかも知れない




『お互い良い思い出にならないじゃん…』




フられてその時は傷付いても、数年後して思い返せば良い思い出だったとか

漫画に良くあるパターンにはならないのだろうか…





「…てか有名でしょ?」



『…うん』




沖田君は告白を断る時、断られた子は90%泣くと有名なのだ


後の10%は逆ギレパターン




それでも告白される回数は減らないモテっぷり
恐るべし沖田総悟




「私も別に応援はするけどさ、何で沖田君?他にもイケメンならいっぱいいるのにさ」



『…別にイケメンだから沖田君って訳じゃ無いからね?』



そりゃあ顔も好みだけど、それ以外の…内面的な理由で私は沖田君を好きになったんだからね!!






「じゃあ何で好きになったの?」




『だって、沖田君は……私の恩人だから』






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