蜂蜜シロップ

俺は勝己のことを友達だと思っていたが、どうやら相手はそうじゃないらしい。

俺と勝己は幼稚園から同じの所謂幼なじみで、勝己はいつも俺のそばをついてまわっていた。
出久は何故か勝己がそばにいる時は誘っても断られることが多かったけど、出久ともまあまあ遊んだ。
俺らは男の子なのに勝己は何故かよくおままごとしようと誘うし、おままごとの役はいつもおれがお父さん役で、勝己がお母さん役だった。そのときはもう、それが当たり前で気にしたことなかったんだけど、今考えてみれば確かにおかしい。男の子がやる遊びではないかなあ。実際男の子でやってるのは俺らぐらいで、
小学校も中学校も同じで、クラスが離れることも多々あった。
その時必ず勝己は「ずっとそばにいないと怒るからな」と言う。
小学の時も、中学の時も、俺はいつも同じ答えで「わかった」と、一言のみの返事をしていた。
勝己はとても優しくて勝己と会わない日はないし、俺の高校入ってからのご飯、お弁当は勝己が作っているし、洗濯も部屋の掃除も勝己が全て嫌がらずにこなしてくれる。だから俺も勝己がいないとこれから生きることが出来ないし、勝己は寂しくないのでいい関係だと思っている。
それが俺の中では当たり前で、別段おかしいと思わなかったのだが…

「いやそれおかしいだろ!!」
「えぇ?」

現在、高校1年にしておかしいのだと教えられた。
いつも勝己が放課後迎えに来て一緒に帰っていたのだが、今日勝己が迎えに来るのが遅くて、たまには俺から行こうと1Aに出向いた。
1Aの人に聞いたら勝己は先生に呼ばれているらしく、まだまだかかるそうだ。どうしようか、教室に戻って待ってようかと考えてる時に、出久とほか1Aの人達に俺と勝己の関係を聞かれたので、今までの事を説明し終えたところだ。そして何故か出久は苦笑いをしている。

「人の家行って家事するなんて、爆豪のキャラじゃない!」
「でも実際やってくれてるし…」
「あと爆豪が優しいって何?」
「え?すっごく優しいよ」
「爆豪と普段どんな会話してんのさ」
「え?えーと…"今日のご飯何がいい?""次の休みどうする?""ずっとそばにいろよ"とかかなあ…」
「いやおかしいだろ!!」
「そうかな?これが普通だったからな…
これが友達じゃないなら勝己からみた俺ってなに?」
「それは…なあ?」
「あからさまに…アピールしてるだろ…」
「なんの?」
「なんのって…恋人になりたい的な…」
「結婚したい的な」
「えー!そんなわけないよー」
「だってそれもうリア充の会話だろ…」
「そうなの?」
「そうなのって聞かれても…」
「んー、じゃあ勝己に聞いてみるね」
「エッ」
「あ、ちょうど来たみたい。勝己」
「アッ」
「勝己ー、」
「モカ!?なんでここにいんだよ!!」
「遅いから迎えに来たー、ってそうじゃなくて、勝己っておれのこと好きなの?
俺と勝己の関係?話してたら、みんなにおかしいって言われてさー」
「……」
「すごい無言で睨まれている……」
「かつきー?」
「……っだ!」
「ん?なにー?」
「好きだっつってんだろうが!!!」

「全力で逃げてったぞ…」
「逃げる爆豪初めて見た…」
「てか最後顔真っ赤だったぞ…」

「……あー、みんなありがとー。俺じゃ一生気づかなかったし。とりあえず帰るね」
「爆豪はいいのか?」
「俺じゃあ追いつけないし、多分玄関で待ってるか俺の家にいると思うからー」
「そうか…そうなのか……じゃあまたな、」
「返事はどうするんだ?」
「もう決まってるよ」

もう勝己がいないと俺は生きていけないし、勝己がいない生活なんて考えられない。ずっとそばにいろよっていうのも、さっきの告白も、嫌じゃなかったしむしろ嬉しかったということは、もうそういうことなんだろう。




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