※ツイッターでぼそぼそつぶやいている
不眠症の進行とともに視界から色を失っていってしまう
熱斗くんと炎山のおはなし。炎熱です。
「小さい頃読んだ絵本に、夜を歩くこどもの話があったんだ」
夜の1時半、初夏の緩い風が入ってくる窓の方へ目を向けて
熱斗がぽそりとこぼした。
「外はだーれもいなくて、空には大きな熱帯魚がいて、
降ってきた星屑を集めてこどもだけの国を作るんだよ」
彼は沈んだ夜底をみつめる。
「いけたらいいよなあ、そんな国。炎山もそう思うだろ?」
熱斗に問われた炎山は心の中で、
そう思っていられるのは今のうちだけだけだ、と言った。
実際こどもたちは自分じゃなにもできなくて、
大人に生かされていることを知っているから。
分かっていながら炎山は彼の期待を裏切ることなく
「そうだな」と一言口にした。
眠れない深海のよる。
ひとりとひとり
2014/03/17