#02 Warmth(6/15)


――アル!アル!
声が聞こえた。

黒い触手に引きずり込まれ黒い子供達が体に絡み付いている。
「アァ、ああぁぁ!!」
膨大な情報が直接脳に叩き込まれるように流れていく。
「ッ!イヤだ!」
まるで走馬灯のように過去、現在、未来が……
「……おかあさん」
溢れ出す情報……
「痛い……!!もうやめてよぉ……」
嵐のように、滝のように知識が刃となって脳髄までにも突き刺さる。

さくらは薄れいく意識の中で光の先を見た。

――ひとだ。
根拠などはないが頭が判断した。

手を差し伸べられたそんな気がした。

無意識に手を伸ばした。
――おとうさん。

突然スイッチが入れられたように不意に目覚めた。
見慣れない天井が目の前に広がっている。
「よぉ。やっと起きたか」
頭を動かそうとしたが、
意識と肉体が上手くリンクしていないように体を思うように動かすことが出来ない。

突然視界が暗くなり
「おいおい大丈夫か?」
顔を覗きこまれ掌を眼前で動かさせれた。

はい、と小さく呟き腕の力を頼りに上体を起こした。
だが、さくらの想像よりも力が入らず横に倒れそうになった。
あぁ、倒れるなぁとまるで他人事のように考えた。
しかし、衝撃いつまで経っても襲ってこなかった。
代わりにじわじわと沁みてくる温かさが伝わってきた……
大きな腕に抱き止められているのに気付き体を震わせた。
「そんなに怖がるな。俺は君に何かしようなんて思っちゃいないぜ」
まぁ、そんな簡単に信用出来ないだろうけどな、と笑いながら、寄りかかりやすいように枕を背中に置いた。

「俺の事覚えているか?」
「あっ……えっと、マース・ヒューズさん。軍人さん……」
さくらの回答で安心したのか歯を出しニッと笑った。
「覚えてくれていたんだな。ありがとうな」
「え、あっ……」

――トクン
さくらの胸が高鳴った。

まるでぽっと火がついたように心が温かくなっていった。
今まで感じたことのない気持ちに戸惑い吃ってしまうさくら。







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