「うわぁ、久しぶりのロンドン!やっぱり賑やかだわ」










名前は子供みたいに瞳をキラキラとさせながら、馬車の中から都会の街並みを眺めた。








『大げさ。あんまり顔を出すと危ないから、窓から離れなよ』








妊婦には空気が良い田舎の田舎屋敷(マナーハウス)で過ごすのが良いと思っていたが、それはそれでストレスが溜まるようだ。


大層な家柄の夫人といえど、まだまだ若い盛りの娘。

たまにはこうして都会で羽を伸ばすのも息抜きになるらしい。










『それにしても、赤ん坊用のベビーグッズを買い揃えたいだなんて、まだ気が早いんじゃない?』









普段からロンドンの中心で働いているグレイにとっては、見飽きた景色のようだ。

馬車の隣に座る彼は呆れたように頬杖をついた。










「あら、そんなことないわ。お腹が大きくなるとお買い物にも行けなくなるから、今のうちにみておきたいのよ。それに、この前、エリザベスと侯爵夫人からお祝いの品を頂いたからそのお返しのプレゼントも買いたいし」




そう言って、にこにこと笑う彼女を見ると何も言えなくなってしまうのだった。















『……で、どこの店に行きたいわけ?』



「えーっとね……この店よ!」







買い物にはあまり興味をそそられなかったが、自分の妻があまりにも楽しそうなので尋ねると、彼女はゴソゴソと店のカタログを取り出した。



グレイはそのカタログを受け取ると、瞳を大きく見開いた。













『えっ、ここって……』



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