▼ 教えてください
金剛さんに強制連行されて連れて行かれたのは学校から3駅ほど離れた市街地だった。
ズルズルと改札から手首を掴まれて歩いてビルの奥の方まで連れて行かれる
「こ、金剛さん!どこ行くんですか?」
「黙ってついてこい。それと阿含な。」
「え?」
「その苗字呼び辞めろ、名前で呼べ。いいな?」
守らなかったら潰す、とさりげない殺人予告に背筋が震えあがった
即座に名前で呼ばせていただきます!どうせなら様もつけたいほどに。
なんて心でパニック状態になっていたらここだ、と阿含さんが足を止めた
「…ここは?」
「昨日ナンパした女が教えてくれた。美味いらしい。」
少し耳障りの良くない発言が聞こえたが気にしないことにする。
連れてこられたのはこじんまりとした洋食屋さん。
お昼どきだからか会社員や友達同士、学生とさまざまな年齢層の人が窓から見えている。
確かに美味しそうなにおいもほんのり香ってくる
そういえば今日は午前中までだったからご飯はまだだったのでお腹が少しだけ音を鳴らす
「好きなの食えよ。」
「は、はい……あの」
「あ"?」
「ひっ…な、なんでこんなお店に連れてきてくれたんですか?」
昨日な…ナンパした女の人と行けばよかったのに、とちっちゃく付け足すと阿含さんはまた盛大に吹き出した。
え、わたし何かまたおかしいこといったのか?
「お前疎いとか言われねえ?」
「は?な、なんのこと」
「いや、なんでもねえよ。それよりなんでか教えてやろうか?」
「は、はい。」
すると阿含さんは顔をぐいっと近づけてくる
今にも顔がひっつきそうなぐらいの距離まで。
え、ちょっと待って阿含さん?顔近いです
バチンッ!
「い、いたっ!」
「ククク、ばーーか。」
強烈なデコピンをわたしのおでこにヒットさせたかと思うと
気づいたときには阿含さんは既に運ばれた料理を食べ始めていた。
な、なんだったの?え?