結局









あの後、雲水さんに異様に説得されて
一休さんには『なまえが居てくれるだけで俺頑張れるから!』とよくわからない意気込みを語られ
気づけば神龍寺の皆さんが周りに集まって雲水さん同様説得モードに入られてしまい



「…引き受けてしまった。」

「良かったな、俺の下でタダ働き出来てよ。」

「良くありません。もはやわたしにメリットないじゃないですか。」

「あ"ー?メリットだらけじゃねェか。」

「…どこが?」

「俺の試合する姿ベンチで見放題だぜ?今までの女では有り得ねェからな。」



予想の斜めどころか線上から外れた道をを行く阿含さんの発言。
いい加減このリアクション飽きてきた…慣れていくしかないのか。

…あれ、なんだか諦めモードに入ってない?わたし。



「何微妙な顔してんだ、名誉なことだって言ってんのによ。」

「そうなんですか、そんなこという女性見てみたいです。」

「その口潰されてねェのかなまえチャンよぉ。」



嫌です、お口は大事です。ご飯食べられなくなるじゃないですか。
阿含さん前から思ってたけどわたしに容赦ないような気がするんですけど。

ナンパした人にもこうだったら許されるけど(いや許されないけども)
この人の性格上それは有り得ないだろうな、きっとわたしだけな気がする

………ん?



「そういえばなんでわたしだけ違うんですか?」

「…は?」

「いや、わたしだって女の子じゃないですか。なんでほかの女の人と同じ扱いじゃないんですか?」



あれ?阿含さんの様子がちょっとおかしい。
なんだろう、こう…呆然とした顔。こんな顔されたの初めて。



「阿含さん?」

「……その脳みそにはなんにも詰まってねぇんじゃねえの。」

「え、なんて言いましった!痛っ!!殴った!」

「次そんなこと言ったらマジでその口潰すかな。」



阿含さんの渾身の一発。あまりの痛さに涙が出そうです。
そんなやり取りをしてたらわたしの家に着いていた。
よく考えたら前の学校からの強制連行同様、わたしを家まで送り届けてくれた。
阿含さんの家からすごく遠いのに。



「じゃあなカスなまえ。」

「(またカスって言った。)あ…ありがとうございました。」

「おう、じゃあな。また連絡してやるよ。」



カス呼ばわりに上から目線。とんでもないぐらい邪悪な人だけど。
家まで送ってくれる優しいところは少しだけいい人に思う。






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