金色の女神 番外編
ソルジャー総会議  [ 8/17 ]




数か月に一回開かれる、ソルジャー部門の予算や実績報告、優秀な2ndの名前が発表される日だ。
大会議室で行われ、3rdからは代表で5名ほど、2ndと1stは全員が参加する。
毎回、タークスの任務で出られなかった名前は初めて会議に出席する。
ぎりぎりまでタークス課で報告書を書いていたため、到着が始まる数分前になってしまった。

大会議室に入ると2nd達がすでに大勢席についており、扉付近に立っていた3rdが敬礼してくる。

「あ、ザックス」
「お!名前今日はこっちなんだな!」
「うん、タークスはお休み」

事前に渡された議事録に座席が記載されている。
1stと対面してザックスと名前の名前が書いてあり、ザックスの隣に名前が座った。

「いつもここは空席だったからなー」
「レノにもっと働けって言えばソルジャーとしてもっと来れるかもね」
「マジ強く言っとくわ」

二人で笑い合って、名前は議事録を開いた。

「これどのくらいやんの?」
「うーん、一時間か…長いときは二時間の時もあったなー」
「うへー…」
「休憩挟むけどな」

ガタガタと席を立ちあがる音がして、名前とザックスも立ち上がり敬礼をする。
1st三人組みとラザードが入ってきた。
ジェネシスとアンジールは名前の姿に少し驚いたようだ。

「今日はソルジャーなんだな」
「セフィロス知ってたなら教えろよな」
「お前たちに聞かれてない」

いや、そんな堂々とセフィロスに私のこと聞かないでよ。
冷や冷やしながら二人の1stを見て、ラザードが座ると全員が席に着いた。

ラザードの話しを聞きながら議事録に目を通していると、ふと顔を上げて対面する席を見て呆れた。
ジェネシスは堂々と議事録ではなく何か本を読んでるし。(どうせいつものやつ)
セフィロスは腕を組んで足を組みながら目を閉じているし。(どこでも英雄様は態度がでかいらしい)
アンジールだけが真面目に議事録を片手にラザードの話しを聞いている。

名前はザックスの腕をつついて耳打ちをした。

「いつもあんななの?1stって」
「ん?そだよ?」
「すごいね…」

スッと目が開いて翡翠色の瞳がこちらを向いて慌ててザックスから離れた。
再び閉じた瞳に安心して、再び議事録に目を通し始める。

眠い…。
周りを見ればちゃんとメモしている者や、議事録を読んでいる者が多い。
眠そうにしている者は居ない。

そもそも昨日、セフィロスの家に泊まったがセフィロスの手により充分な睡眠を取れなかった。

欠伸を噛みしめて、ぼーっと壁の一点を見つめる。

「…い!おい!名前!」
「はっ!」

いつの間にか寝てしまっていたらしく、隣のザックスに声かけられていた。
その姿を見てラザードが苦笑した。

「そんなところまで指導者の真似しなくていいから」
「す、すいません」

その指導者はいつの間に目覚めたのか、こちらを見て鼻で笑っていた。

いや、半分はあんたのせいだー!
と叫びたいのを我慢して頭を振った。

こ、これは以外と難しい任務だ…。睡魔との戦いとは…。

隣を見ると、ザックスまでうとうとしていたためニヤリと笑った。
ペンで手の甲にバカと書いてやる。

すると驚いた顔で見られて、今度は手を引っ張られてアホと書かれる。

ザックスの手を掴もうとして二人してビクッと体を固めた。
対面する前から指導者たちの殺気が飛んできたからだ。
(きっとアンジールは真面目に聞けという意味だけどセフィロスは違う気がする)

二人は大人しくなる。

「じゃあ、ザックス。この間の任務の報告を」
「あ、はいはい」

ん?そんなこと言われんの?
議事録を見ると確かにザックスが任務の内容を報告するとあった。

「…ってなわけで、このモンスターは…」

そういえば、ザックスって敬語とかあんま使わないよね。
私は神羅に連れてこられてツォンにみっちり指導されたのに。
セフィロスやヴェルドやラザードへの言葉づかいが悪すぎると。上官に当たるのにって。
まあ、スラム出身であんな仕事についていれば、言葉づかいが上品な人も珍しいと思うけど。

ザックスはセフィロスにもアンジールにもジェネシスにも敬語使わない。
呼び捨てだし。
私も使わなくていいって本人たちに言われたけど、ツォンの目が怖かったから使うようにしている。

そんなことをぼーっと考えていると、ザックスが報告を終えたらしく席に着いた。

「まあ、一度ここで休憩をしよう。15分後に再開する」

ラザードがそういうと、ぞろぞろと会議室を出ていくものがたくさん。
名前は席を立って伸びをした。
そして、ふと前を向くとセフィロスと目が合い、手招きされる。

嫌な予感しかしないので、見なかったことにした。

「おい、名前。セフィロス呼んでねえ?」
「呼んでないよ。ザックスの気のせいじゃない?」
「名前」
「…」
「…ほら呼んでる」

他の2ndが見ている中で無視するわけにはいかない。
仕方なく対面するテーブルまで行き、セフィロスに近寄った。

「どうかしました?」
「目を覚まさせてやろうか?」
「結構です」
「遠慮するな。また巻き添えくらって注意されるのはごめんだからな」
「っ!ここでは勘弁してくださいっ!」

腕を引っ張るセフィロスに小さな声で異議を唱えた。
するとふっと笑って立ち上がり、腕を引かれる。
会議室から連れ出される姿は「セフィロスさんに説教されんじゃね」「あんな堂々と寝てたもんな」なんて声が聞こえてくる。
ああ良かった。そう捉えられてるのね。

会議室すぐ近くの物置に体を押し込まれ、ドアが閉まると唇を塞がれる。

「んんっ…」

貪られるようなキスをされて、セフィロスのコートを握りしめた。

「は、はぁ、はぁ」
「目が覚めたか」
「てか、半分はセフィロスのせいだからね!」
「昨夜のことを言ってるのか?」
「それ以外に何があるの?」
「それは心外だな。お前も欲しがったから付き合ってやったと言うのに」

言葉に詰まってしまう。
いやいや、そういう体にしたのは誰だ!

と言い返したかったが、口で敵う相手ではないので諦めて溜息をついた。

「一回でいいから口で勝ってみたいわー」
「そうか。楽しみにしてる」
「余裕ね…今に見てなさい!」
「そろそろ戻るぞ」

最後に触れるだけのキスをされて、会議室へ戻った。

「んで、目は覚めたの?」
「どうだろうかね。ザックスは?」
「これ飲んだ!」

神羅特性メガシャキーンか。錠剤のようなもので口の中が一気にスーッとなり、目が覚めるという。

「…一個ちょうだい」
「お、いいね。挑戦してみろよ」

手のひらに置かれた小さな粒を口に入れて、一気に口の中がリフレッシュ。
確かに一気に目が覚めたが…

「う…舌がピリピリする…」
「刺激強いからな」
「うえー…」

舌を出して涙目になる。

「…お前、その顔やめた方がいいぞ。旦那がキレる」
「ううー…」

口を閉じて、涙目になりながら前を見ると確かにセフィロスが鋭い眼光で見ていた。
その途端にメールが来て、開く。

《次、そんな顔したらここで襲うぞ》

なんてことを言うんだ。
青ざめて顔を上げて、セフィロスに向かってブンブンと顔を左右に振る。
ラザードが戻ってきたため、議事録を眺めて真面目に聞くことにした。

話しもやっと終わるころにラザードはこちらを見た。

「今回の成績優秀者はここに座っている2ndの名前と同じく2ndのザックスだよ。二人にはボーナスが振り込まれる」

なにそれ!知らなかった!!
名前は嬉しそうに顔を上げて目を輝かせた。

「二人とも立ってくれるかい?君たちの指導者にも同様にボーナスが支払われる予定だよ」

え、それはいらないんじゃないか?
アンジールはともかく、セフィロスは指導らしい指導はそんなしてない気が…

顔に出ていたらしく睨まれた。

自分とザックスに拍手が送られ、会議は終了した。






その日の夜にベッドに座りながらセフィロスを会議でのことが話題になった。

「ねえ、ボーナスってどのくらいもらえんの?」
「さあな。俺は指導者として直属の部下にしたのはお前だけだから、もらったことがない」
「え?!そうだったの?」

それを聞けばなんだか少し嬉しい。
ふふふっと笑うと、セフィロスの腕が腰を引き寄せた。

「そんな嬉しいか」
「そりゃあ、セフィロスの愛を感じる」
「もっと感じさせてやろう」
「今日はいいです!昨日散々したのに!」


  
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