金色の女神 番外編
ハロウィン(2019)  [ 3/17 ]


「その恰好はなんだ」
「魔女」
「…」

10月の月末のこの日だけは神羅カンパニーは仮装しても良い日になっている。
私も今日着るべきタークスの制服ではなく、黒のミニスカートワンピースに黒いとんがり帽子をかぶっている。

タークスの任務もなく、ヴェルドにこの書類をセフィロスに届けてほしいと言われてやってきたセフィロスの執務室。
セフィロスは私から書類を受け取ると、書類をデスクに置いて私の恰好を上から下まで眺めた。

「…短すぎないか」
「そう?」
「下に何か穿いているのか。まさかすぐに下着とかではないだろうな」
「…」

私はスカートを捲ろうとするセフィロスの手を叩き落として、後退した。

「ちゃんとスパッツ穿いてます」
「…見せろ」
「見せません」

近寄るセフィロスから逃げ出すように執務室を出るとまさかのセフィロスが追いかけてきた。
しかも、顔が怒っている。

「逃げるな」
「じゃあ追いかけてこないで!」

エレベーターを待つこともできないため、急いで階段を下りた。
すぐ後ろから階段を飛ばして降り立ってくる音が聞こえてくる。
私も飛んで降り立つと着地地点に人影が。気づいたときには遅く、ドサッとその人影に受け止められた。

「まさか階段から可愛い魔女っ子が落ちてくるなんて」
「ジェネシス!」

お姫様抱っこされたまま、セフィロスが目の前に降り立った。

「ジェネシス、返せ」
「なんだ?二人で鬼ごっこか?俺もいれろよ」
「鬼ごっこしてないよ!セフィロスが勝手に追いかけてきたの!」
「黒のワンピースに白のレースの下着っと、セフィロスいきなり殴るなよ。名前を落とすところだっただろ」
「落とせ。それかさっさと寄越せ」
「やだやだやだ!ジェネシス!このままでいいから逃げて!」

私はジェネシスの首に腕を巻きつけて、背中をバンバン叩いた。

「よし!しっかり掴まってろ」
「させるか」

一瞬の出来事だった。
私を横抱きにしたままジェネシスが走り出そうとした軸足。その足をセフィロスが回し蹴りで引っかけると簡単に倒れる体、そして放り出される私の体。
その体をセフィロスがキャッチして、肩に担がれた。

「は、早業…」
「ぐう…」

蹴られた足を蹲って押さえているジェネシスを鼻で笑ったセフィロスはそのまま階段を上って行った。

「…あのね、セフィロス。スパッツ買うの忘れてね、でもまあ、任務あったりしたら着替えるつもりだったし」
「…」
「ロッカーにタークスの制服の予備あるし、着替えようと思ってて」
「…」
「あの、たまにはミニスカートとか…いいと…思うんだけど…」

普段から私の露出を好まないセフィロスはこの恰好にケチをつけることは分かっていた。しかし、今日この日ぐらいは許してもらおうと敢えて着替えずそのまま行ったのだが、まさか下にスパッツを穿いているのかなどという確認をされるとは思わなかった。

ずっと黙って階段を上っていくセフィロスの手が少し上に上がり、私の太ももを摩った。

「っ!」
「襲ってくれと言っているもんだぞ、この恰好は」
「返り討ちにするわ」
「…やってみろ」
「セフィロスに襲われたら世界中の誰一人と返り討ちにできません!」

そもそもセフィロスレベルの男がゴロゴロしてたら恐ろしい世の中だ。
執務室まで戻ってくると、勢いよくソファに下ろされた。
勢いでスカートが捲れて、すぐに両手で押さえた。

「黒い服に白を着るか…」
「下着の色まで考えてなかったの!」
「名前…」

セフィロスは私の体の上に乗りかかり、恐ろしく機嫌が良さそうに笑った。

「Trick or Treat」
「待って待って!私のデスクに飴あるから!」
「くくく、今ないのなら選択肢は一つだな…」


HAPPY HALLWEEN!!


  
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