1年生 一年。 ロンとハーマイオニーと友達になった。うん、原作通りだ。クィレル先生が吃っているのも、マルフォイやスネイプ先生と仲が決裂しているのも、クィディッチチームのシーカーになったのも、みんな原作通り。 「私ってなんのために生きているんだろう」 原作など意識せず自分の意志で動いているつもりだったが、結果を見れば小説の流れと同じだ。誰かに操られているのではないかと疑ってしまう。 魔法薬学の授業でスネイプ先生に言い付けられたクラス全員分の後片付けをしながら溜息をつくと、カタン、と物が倒れる音がした。顔を上げると―― 「マルフォイ?」 「……どれだけ片付けに時間をかけているんだ」 「もうすぐ終わる」 全ての材料を間違いなく元の場所に戻し、最後にマルフォイの倒した標本を立てると教科書を抱える。すると、私を監視するかのように見ていたマルフォイも立ち上がった。 「さっき言っていたことはどういう意味だ?」 「何が?」 「生きてるのがどうのこうのと言ってただろう」 「ああ……私は私じゃなくてもいいんだと思って」 「?」 「私はただの操り人形なんだ」 まさに今の私を体言した言葉だとうんうん頷いていたら、マルフォイに頬を叩かれた。唇が切れてジンジンと痛む。「なにするんだよ」という私の言葉に返事をすることなくマルフォイは去っていった。 120705 次のページ# 目次/しおりを挟む [top] |