0年生

 魔力が暴走することもなく“まとも”な生活を送っていた。それでもダーズリー家に馴染めない。
 魔法さえ使わなければ大丈夫だと思ってはいたけれどなあ、とベーコンを噛っていると、大きな手が背中を叩く。ダドリー・ダーズリーだ。
 バーノンおじさんもペチュニアおばさんも私に一切関わろうとしない。必然的に、この家で私に構うのはダドリーだけだった。

「今日はボール投げをしよう」

 そう誘いをかけてくるダドリーは一見友好的だが、ボールを私の顔にシュートさせて楽しむ気なのだろう。この前も自転車に乗ろうと誘われ嫌々ついていったら(ついていかないとペチュニアおばさんに怒られる)、壊れた自転車に乗せられ、危うく天国のパパとママのところに行きそうになった。
 私の顔面にボールをヒットさせようとするダドリーのボールを避け、魔法魔術なんちゃら学校から手紙が来ないかなと空を見上げたら、(余所見をしたせいでボールが顔面にヒットした。痛い)一枚の手紙が舞い降りてきた。

「? ヘンリーに?」

 地面に落ちる前にキャッチした手紙を、ダドリーが引ったくる。私宛ての手紙を断りなく開けるダドリー。
 呆れ顔で彼を見ていると、ダドリーが飛び上がった。

「どうしたの?」
「ヘンリーが、魔法使いの学校に行くって書いてある! こんなのパパたちに見せたら怒られるよ!」

 そう言って手紙を細かくちぎり、庭に埋めてしまうダドリー。次の日から嫌がらせとしか思えない量の手紙が家に届き、その努力は無駄になったのだが。
 ダーズリー一家は最後まで魔法学校に行くことを反対したが、ダーズリー一家に迷惑をかけるより魔法学校へ行った方がお互いのためだろうとホグワーツに入学することを決めた。

120411
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