43

 駆け付けたハグリッドにユニコーンを見付けた事を報告した。全ての説明を受けたハグリッドは難しい顔で銀色の液体を手ですくい取る。ハグリッドの手の中で、粘着質な液体はテラテラと不気味な輝きを放っていた。

「これは、ユニコーンの血だ。ただの怪我じゃあない、こんなに出血している。頭の良いユニコーンが大怪我をすることなんて滅多にない。誰かに傷付けられたのか……ユニコーンを傷付ける生き物がいるなんて、あっちゃならん。そんなこと、畜生のすることだ!」

 それからユニコーンがどれだけ神聖な生き物であるか語るハグリッドはなんか教師っぽいぞと感心していたのだが、珍しいものがとれた! とばかりにユニコーンの血を嬉しそうに瓶へ詰めるハグリッドを見てちょっぴり引いた。とか言いつつ便乗して瓶にユニコーンの血を詰める自分にもっと引いた。いやしかし、ハーマイオニーから葉っぱを瓶に変える魔法を習っておいて良かった。
 なんでもユニコーンの血は、癒しをもたらすらしい。クィディッチをした後の擦り傷の痛さがこれで和らいでくれればいいが、と血を詰めていく。そして、これまたハーマイオニーに習った腐敗を防ぐ魔法を念入りにかけてから瓶をポケットに入れる。ちなみにロンの双子の兄もユニコーンの血をかき集めていた。これで彼らの悪戯が捗ること間違いなしだ。

「さて、今日の見回りはここまでにするか。みんな、もう罰則を受けるんじゃあないぞ」

 悪戯が仕事の子供にそんな事を言っても効果はない、とハグリッドの言葉を一切聞いていない双子を見て思う。それから何事もなく森の出口まで辿り着き、私たちは解散した。ロンは友達と楽しそうにお喋りしながらさっさと寮に帰ってしまい、もちろん私も寄り道などせずにさっさと帰ろうと思ったのだが、最悪なことに、双子に捕まってしまった。トムに助けを求めたのだが、トムは眠そうに目を擦ると「おやすみ」と横をすり抜けていく。あれ、ちょっと、待って、という声が廊下に響いたのだが、聞こえているのか聞こえていないのか、トムはフラフラした足取りで闇の中に溶け込んでいった。
 双子はトムも巻き込む予定だったようで、立ち去ったトムを見て残念そうにしたがすぐに気を取り直して夜の闇に飛び込んでいく。それから一晩中連れ回された私は翌日の半分をベッドで過ごすことになった。双子は休暇から帰ってきた生徒たちに悪戯を仕掛けて回ったらしい、元気すぎる。

161123

次のページを開く→

目次/しおりを挟む
[top]

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -