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 神聖なスリザリン談話室でだらしなく過ごした罰として、禁じられた森の見回りをすることになった。どうでもいいがなぜ夜に見回るのだ、昼間でいいじゃないか。文句をたれる私とは正反対に、トムは嬉しそうだ。罰則でもないのについてきたロンの双子の兄は、ワクワクした様子だ。さらにグリフィンドールの罰則もついでにするということになり、ロンとその友達が一人、一緒に行くことになった。ロン達は夜中に校内を出歩いた罰則らしい。夜の学校を徘徊だなんて面白そうなこと、私も連れて行ってくれればいいのに。じとりとロンを見ると、ロンは面倒くさいという顔をしてあからさまに無視をしてお友達とお喋りを始めた。ひどい。

「じゃあ、行くとするか」

 全員が揃ったのを確認してから声をかけたのは森の番人、ルビウス・ハグリッドだ。いつもとは違う仰々しい顔でハグリッドは言う、今森の中はとても危険であると。禁じられた森と呼ばれている通りこの森は普段から危ない森ではあるが、最近はいつもよりもっと危険らしい。そんな所に生徒を罰則で放り込むなんてなんて学校だと思ったのは私だけらしく、ロンとその友達はお化け屋敷に行く程度にしか思っておらず、双子とトムは前述の通りウキウキである。これ私だけの罰則じゃないか。
 ハグリッドが先頭を歩き、その後をピッタリくっついて進んでいく私をからかうトムと双子なんて滅んでしまえと何度思った事か。途中でハグリッドが二手に分かれようと馬鹿な提案をしたので全力で拒否をしたら双子とトムに睨まれた。そんなに二手に分かれたいなら三人で行けばいいでしょ、なんならロンとその友達も連れて行ってしまえ。私はハグリッドから離れないぞとハグリッドの腰にしがみついていたのだがあっさりと引き離されてしまい、双子とトムと私という最悪のメンバーで禁じられた森を見回る事になった。あちらこちらから変な虫を捕まえて来ては報告をする三人にいい加減慣れてきた頃に、それを見付けた。

「綺麗……」

 そう、誰かが呟いた。もしかしたら私が呟いたのかもしれないが、そんな事はたいした問題でない。白く艶のある鬣は美しく、天に向かい伸びる一角は見るものを圧倒する。
 幻の生き物、ユニコーンだ。
 先程までおちゃらけていた三人組も、ユニコーンを目の前にして言葉もないようだ。……というのは一瞬だけで、すぐに目を輝かせてユニコーンに近付いていく三人組。チラリと視線を向けたユニコーンは、人間に興味ないというようにすぐ顔を背けた。それから三人組に捕まる事なく闇の中に消えていったユニコーンが立っていた場所には、銀色の液体が水溜まりのようになっていた。いったいなんだろう。とりあえず私たちはハグリッドを呼ぶ為に空に向かって赤い閃光を打ち上げた。

160910

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