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 ハーマイオニーが立ち去ったコンパートメントでは、もうすぐ学校に着くから制服を着た方が良いという彼女の忠告通り私とロンがローブを羽織っていた。すぐに成長するだろうと大きめサイズで作ったローブは予想以上に大きめで裾を引きずってしまいそうだが、長年ダドリーのお下がりのだぼだぼ服を着ていたので不便は感じない。ローブを身に付けたロンはお下がりなんだ、とグチグチ言っていたが私のだぼだぼローブを見た瞬間口をつぐんだ。なにがどうなってそうなったの、と不信感丸出しにそう言って可哀想にと私の頭をわしゃわしゃするロンの手を叩き落とすことはしなかったがそんなに変かしらと裾を摘まむ。丈の長いワンピースみたいで案外可愛いと思うのだけど、と思った私はハリーになってからワンピースを着ていなかったので感覚がおかしくなったのだろうか。

「ハリー、どうやら到着したみたいだよ。えーと、大丈夫? 転ぶなよ」

 荷物は後で運んでくれるらしいのでロンと手を繋いで列車を降りる。どうもロンは私が今にも引っくり返ると疑っているらしく頑丈に手を握っていた。手がちょっと痛いけれど、ダドリーに鍛えられていたので問題はない。
 列車の外ではハグリッドが新入生を出迎えていたが私の顔を見るなり「ハリー!」と職務放棄をした。大きい体で新入生を潰さないように気を付けながらこちらへ小走りする。そんなハグリッドと私を交互に見たロンは怪訝そうな顔をして私を後ろに隠す。ハグリッドが私を食べてしまうとでも思ったのだろうか。

「ロン、彼はホグワーツの森番のハグリッドよ。私の友達なの」

 ロンに耳打ちをしてハグリッドに手を振ると、ハグリッドは私をぎゅっとするので危うく体の中身が出かかった。そろそろ力加減を学んで欲しい、まだパパとママのところへ行くのは早いもの。
 それからハグリッドにロンを紹介して魔法で動く小舟でやってきたのはホグワーツ城で、まさにお城という単語がピッタリの建物を、ハグリッドとバトンタッチしたミネルバ・マクゴナガルという名前の先生が案内してくれる。頭の天辺から足の先まできっちりしているマクゴナガル先生は、組分けの儀式の説明をしてからホールへ新入生を誘導した。ホールには先生方、上級生がずらりと並んでいて、その真ん前に新入生は通される。たくさんの瞳が興味津々に見ていて、なんていっても今年は“生き残った女の子”であり“世界の救世主”であるハリー・ポッターが入学するというのだ、注目しないわけがない。

150724

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