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 ジェームズと呼んで欲しいとせがむ小さな私の恋人の要望に応えてあげると彼はほんのり頬を赤くした。ジェームズは本当に私のことを想ってくれていて、私のためになんでもしてくれた。
 すっかり公認のカップルとして知られるようになった私たちにたいする風当たりは強いが、私が名家であるのとジェームズが純血であることが幸いし、表立った嫌がらせを受けることはない。堂々とスリザリンの席に腰掛けて黄色い瞳を向けるジェームズにそっと微笑みかけると、彼はだらしなく表情を緩める。
 クスクス笑いながらフォークでジェームズの苦手な野菜を刺し、それを彼の口元まで運んでやるといやな顔一つせずにそれを平らげた。好き嫌いが改善されつつあるジェームズを褒めるように頭を撫でると(改善されるのは私の前だけだろうけど)、彼は恥ずかしそうに身をすくめる。

「子供扱いしないでよ」

 ふてくされたように言うジェームズに軽く謝りサラダをつついていると、私の好物をスプーンに乗せたジェームズが「あーん」と言い期待した目を向けてくる。口を開けてそれを食べようとしたとき――視界にルシウスが映った。少しだけ眉を寄せているルシウスは、私に嫉妬をしているようだ。

「(グリフィンドール生と付き合えるのが羨ましいのね)」

 ジェームズと付き合うことに決めた要因は、ルシウスの存在が大きかった。私がグリフィンドールの生徒と付き合っていれば、ルシウスも意中の相手と接しやすくなるのではないかと思っての行動で、そのうちルシウスも私に感謝するようになると確信している。
 ジェームズの差し出すスプーンをくわえて薄く微笑み、なぜ自分がそんなにもルシウスに感謝されたいかなどと考えることはなかった。

150512
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