初めて興味をもつ

 しきりに声をかけてくるリドルに適当な受け答えをしているうちに、グリフィンドール寮の前までたどり着いた。肖像画をくぐるジェームズくんを見送ってから、足の向きを変える。グリフィンドール寮から私の部屋までは結構な距離があるため、早く帰ろうと足の動きを速めた。早歩きをしても変わらぬ表情でついてくるリドルは、今まで私の歩く速さに合わせていてくれたのだろうか。

「ヘンリー、今度禁じられた森の見回りに行くときは僕に声をかけてからにしてくれ」
「?」
「骨を拾ってやれないだろう」
「……拾わなくても大丈夫です」

 悪戯っぽく笑うリドルに顔をひきつらせると、彼はより楽しそうな顔をする。明らかに人を玩具扱いしているリドルをまともに相手をするのは得策ではないと顔を逸らすも、あからさまな態度をする私を気にすることなく彼は声をかけてきて、深く息を吐き出す。これでは、無視をしている私が最低の人間ではないか。自分がいい人間でないことは自覚しているが、最低の人間に成り下がるつもりもなく、仕方なくリドルに視線を向ける。僅かに口元を緩ませた人物は私の知っているヴォルデモートという登場人物とはかけ離れていて、このとき初めて彼に興味を持った。

130522
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