比較する

「……というわけで、優秀な医療技術を持つこの世界と他の世界を比較してみましょう」

 ポケットから取り出した杖を上下に二回振ると医療具が姿を現し、もう一度、今度は違う魔法を使うと腕に切り傷ができる。流れる血を気にすることなく医療具の説明をしていると、突然、ガタンと大きな音が響き、なんの前触れもなく立ち上がったジェームズくんに目を向けると、彼は靴音を鳴らして近づいてきた。
 目の前まできた彼に首を傾げると、彼に先ほど傷を作った腕を掴まれ――そして、ジェームズくんは首を傾げる。

「ハンター世界の“念”を覚えていますか? ――ペティグリューくん、念についてわかることを教えてください」
「あ、えっ、……人間はオーラを纏っていて、それは生きていくのに必要なもので……オーラを操ることを、念とい、い、ます」
「よく覚えていましたね。グリフィンドールに二点差し上げます。……オーラは常に人間の体からもれていますが、その“もれ”を止めることができます。それを絶といい、とても無防備な状態になります」

 絶の状態は危険であると説明してから、怪我をした腕を上げる。血はついているが、腕の怪我は綺麗に治っていて、相変わらず不思議そうに腕を眺めているジェームズくんを席に座るよう促してから、話を続けた。

130418
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