普通に教師

 この後時間はないかと尋ねてくるレギュラスくんに、私は暇だけれどレギュラスくんは授業がまだありますよね? と首を傾げると、次は自習になったので透明魔法を教えてくださいと腕を引っ張られる。特に予定もないのでされるがままに彼に着いていくと見覚えのある部屋に連れて行かれ、扉を開くまで自分の部屋だと気づくことができなかったのは、レギュラスくんが我が物顔で部屋に上がり込んだからだ。さあ教えてくださいと振り返ったレギュラスくんに昨日と同じように教えていくも、レギュラスくんが透明魔法を会得できることはなかった。悔しがりながらも授業に向かう彼を見送り、そういえば私も次の時間は授業をしなければならないのだと思い出して荷物を纏める。




「魔法界の医学は、とても優れています。私が今まで見てきた世界でも群を抜いています。――普通、風邪を治す薬はありません。普通、なくなった腕は生えません。みんなは、とても恵まれています」

 言葉を区切り、唾を飲み込んでからまた口を開く。

「私は、前世の記憶というものがあります。死んだときのことを、覚えています。胸を刺されて肺に穴が開き、窒息死しました。もしこの世界の医学があれば、生きていたかもしれません」

130417
次のページ#
目次/しおりを挟む
[top]

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -