瞳に映らない

 レギュラスくんの肩を杖で三回叩く。不思議な顔をしているレギュラスくんに、透明になれる魔法かけたのだと教えると、彼はとても興味を持ったようで、どうすれば使えるのかと尋ねてくる。一度レギュラスくんにかけた魔法を解いてから、なるべく丁寧に魔法の使い方を教えたのだが、彼は透明になれる魔法を使いこなすことができずとても落ち込んでいた。それでも諦めようとしないレギュラスくんに、また今度、時間のある時に透明になる魔法を教えるという約束をし、もう一度透明になる魔法をかけて部屋から見送る。

「三十分程したら、魔法の効果は切れると思います」
「わかりました。ありがとうございます」
「では、お気をつけて」
「はい。約束、忘れないでくださいよ」

 姿が見えないので、足音が聞こえなくなるまで見送り、それから部屋の奥に引っ込むと、すっかり冷たくなったベッドに潜り込む。ローブを着たままなので窮屈だったが、柔らかな布団に挟まれると表情は緩み、気づけば夢の中に落ちていた。
 次の日の朝、ローブが皺だらけになり、慌ててリドルの部屋を訪ねると、彼は呆れながらも皺を伸ばす魔法をかけてくれる。そのとき、ついでに保温魔法もかけてくれたようで、寒さに参っていた私はとても感謝した。

130415
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