平和はない

 魔法でソファーをベッドに戻し、四肢を投げ出して寝転がる。柔らかな布団にくるまり幸せに浸っていると扉の奥からノック音が聞こえてきた。応対するのを面倒くさがって無視をしようとすると、扉は勝手に開き、仕方がないので渋々上半身を起こすとそこにはジェームズくんとブラックくんの二人が立っていて、ニヤリと笑う二人に嫌な予感がする。

「新任してきたヘンリーのために、校内を案内してあげるよ」
「ありがたく思え」

 ジェームズくんはともかく、ブラックくんの物言いは傲慢だ。布団を頭に被り二人を見なかったことにしようとすると、布団を奪われ、腕を引っ張られ、さらに、どこから出したかはわからないが、薄汚れた布を頭から被せられた。

「なあ、相棒」
「なんだい、シリウス」
「俺たち二人がマントに入るのは厳しそうだな」
「そうだね。困ったね。――仕方がないから、僕が彼女をエスコートしよう」

 芝居がかった台詞を口にする二人に抗議をする暇もなく、ジェームズくんに腕を掴まれたかと思うと、無理やり部屋を連れ出され、その乱暴な扱いに眉根を寄せ、エスコートではなかったのかと文句を零す。エスコートして欲しかったのかい? と嫌みったらしい笑顔で尋ねてくるジェームズくんから顔を逸らした。

130402
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