ひらめいたらしい

 なんの授業をしているんだ?
 異世界学です。
 異世界学? そんな教科あったか?
 つい昨日できました。
 へえ、知らなかった。そういや昨日の夕飯の席にいなかったからなー。……誰でも受講できるのか?
 意欲のある生徒なら、誰でも。
 じゃあ俺も受講してやるよ。
 受講の受け付けは締め切りました。
 マジか。

 なんとかならないのかと言うブラックくんに首を横に振ると、至極残念そうな顔をしていた。授業の内容も知らないのに残念がるブラックくんに首を傾げ、そういえばブラックくんは、この時間に授業はないのかと問いかけると、彼はいいことを思いついたというように表情を明るくする。今の会話にひらめきポイントがあっただろうかと怪しんで片眉を動かすと、とんでもないお願いをされ、私が返事をする前にブラックくんは勝手に話を進めていった。

「じゃあ、みんなを集めてくるから用意しとけよ」
「用意って……なにをですか」

 私の言葉に答えることなくブラックくんは背を向けてしまい、遠ざかる背中を無言で見送ってから教室を後にする。両腕で名簿を抱え、今朝リドルに教えてもらった自室までの道を歩いていると、着慣れないローブに躓き危うく顔面から床に激突しそうになった。

130215
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