不思議な少年と、質問 名前を尋ねられたのでヘンリーですと答えると、頭のてっぺんから足の先まで観察され、怪しむような視線を向けられる。「昨日、なんであそこにいたんだ?」とさらに質問を重ねられ、昨日のこととはなんだろうと首を傾げ、しかしすぐに、昨日女子トイレにいた少年が目の前の彼だと気づく。トイレですることなど一つしかなく、隠すことでもないので正直に答えると、少しは慎み隠せと説教を受けた。 「つうか、なんであそこに行けたんだよ」 「?」 「あそこら辺には、ヴォルデモートが女避けの呪文をかけているから女は近づけない……もしかしてお前男か?」 「女です」 変な誤解をしようとしているブラックくんの言葉を否定すると、ふーんと、納得したんだかしてないんだかよくわからない相づちを彼はした。 「あの辺りに私の自室があるので、リドルが気を遣って呪文を解いてくださったのではないでしょうか」 「は?」 「?」 「自室って……あの辺に寮はねえはずだぞ。お前、どこの寮に所属してるんだ?」 不思議そうに目を瞬いているブラックくんはなにやら勘違いをしているようで、私は生徒ではなく教師であると訂正すると、天変地異が起きたとでもいうような顔をした。 130201 次のページ# 目次/しおりを挟む [top] |