へんてこりんな塊 顔を俯けてみたり頬をかいてみたり、挙動不審な行動をしているジェームズくんはどうやら照れているらしい。昨日、初めて話したときは取っつきにくい印象を抱いたが、案外親しみやすい子なのかもしれないと考えを改めていると、突然、頭上で爆発音が響いた。――いや、突然というのは正しい表現ではなく、ジェームズくんが投げつけてきた塊を受け止めようと伸ばした手の中で、塊が破裂をしたのだ。茶色い粘着質な物体が飛び散り体や床に付着し、気づけばジェームズくんの姿は消えていた。小さく溜息を零す。 悲惨な有り様に、どこから手を着けるべきか迷っていると、教室の扉が音を立てて開き、見覚えがあるようなないような、一人の男子生徒が、近づいてきた。私の状態を見てぎょっとした彼は、懐から取り出した杖であっという間に全てを元通りにしてくれ、助かったと頭を下げてお礼を言う。 「なんで糞爆弾まみれになってたんだよ」 「握ったら破裂して……驚きました」 「バッカじゃねーの」 返す言葉が見つからずに肩をすくめてみせると、わずかに目を見開いた彼は、シリウスと言葉を発する。シリウス……そういえば、そんな名前の星があったと考え、次に、目の前の彼がシリウス・ブラックであることを理解した。 130131 次のページ# 目次/しおりを挟む [top] |