花も恥じらうお年頃

「彼と知り合いなのかい?」
「私の授業を受講している生徒です」
「ああ、異世界学だっけ? 受講する生徒を教師が選ぶなんて非常識だと、同僚が憤慨していたよ」
「はあ、そうですか」

 首を縦に動かして相づちをうつと、リドルが愉快そうに笑うので眉を寄せる。おかしいことも面白いことも言ってはいないというのに、彼はなにを笑っているのだろうか。
 怪しむようにリドルをうかがうも、いくら彼を見たところで彼の思考を読み取れることはなく、仕方なくリドルとの会話を打ち切り、当初の目的であるお手洗いに足を進める。お手洗いまでの道のりは僅かで、早々に用を済ませて個室を出ると、手を洗う水道の前に、一人の男子生徒が立っていた。今使用しているトイレは男女別であり、確かに私は女子トイレに入ったと思ったのだが、間違えて男子トイレに入ってしまったのだろうか。いや、男子用の便器はないし、確かにここは男子トイレではないはずだ。もしかしたら彼が間違えて女子トイレに入ってしまったのかもしれない。
 直接トイレを間違えたことを指摘するのは可哀想だと思い(思春期は難しい年頃であると理解している)、素知らぬ顔をして彼の横を通り過ぎた。

130119
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