不機嫌な顔の下で

 ジェームズくんと呼ぶと、彼は驚いたように目を見開き、それから顔を歪めた。なにか不快なことをしただろうかと口をつぐみ、嫌な沈黙にたえかね簡単な挨拶をして立ち去ろうとしたのだが、足を動かそうとすると腕を掴まれる。顔を上げると、私より背の高いジェームズくんと視線が絡み、目を逸らすこともできずにお互いを見つめ合っていると、次第に彼の顔が赤く染まっていく。予想外すぎる反応にぎょっとして彼から距離をとり、それでも逃げることはせずに恐る恐る声をかけた。

「顔が、赤いですよ。具合が悪いなら医務室にでも、」
「違う。あの、ヘンリー、僕は――」

「こんなところで、なにをしているんだい? ……君はグリフィンドールの生徒だね。消灯時間が近い、早く寮に戻りなさい」

 背後からかけられた声に肩が跳ね上がり、振り向いた場所に立っている人物を見て、首を傾げる。さっき帰っていったはずのリドルがなぜここにいるのだという疑問に彼が答えてくれることはなく、ジェームズくんに早く帰るよう急かしたリドルは、ジェームズくんがいなくなったことを確認すると、不機嫌さを隠すことなく私を見下ろしてきた。先ほどリドルと別れたとき、彼は不機嫌ではなく、むしろ機嫌がよさそうにしていたというのに、どうしたのだろうか。

130114
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