話し上手な紳士 「仕事のことでも、生活のことでも、わからないことがあったらなんでも聞いて欲しい。ダンブルドア校長に、君の世話を任されているんだ」 目の前に現れた料理を口に運びながら、リドルの言葉に耳を傾ける。校則や、学校の様子を、わかりやすく的確に教えてくれ、食事が終わったら私に割り当てられた部屋に案内するというリドルの言葉に、少しだけ眉を寄せて、首を縦に振った。居心地悪くリドルと会話をしている理由は、リドルを苦手に思っているとか、そんな理由ではなく、広間にいる女の子からの視線が痛いからだ。リドルはとても端正な顔立ちをしていて、物腰が柔らかく、会話も楽しい。おそらく彼は、人気があるのだろう。体に突き刺さる視線に食事の手が止まり、溜息を吐く。あからさまな態度の私を見たからか、そうでないかはわからないが「先に広間を出ているよ。ヘンリーは、ゆっくり食べてからおいで」と耳打ちをしたリドルは、広間から出ていった。リドルの食事の皿はほとんど使われておらず、気を遣わせてしまったことに気づき申し訳なく思う。しかし、ようやく落ち着いて食事をできることに安堵し、温かな湯気をのぼらせる料理に手をつけた。 130112 次のページ# 目次/しおりを挟む [top] |