ひっそりたたずむ男

 グリフィンドールで五人、レイブンクローで二人、ハッフルパフで十人、スリザリンで四人、計二十一人の生徒に、次回の講義を受けることを許可した。これは私が講義を引き受けるときにダンブルドアに出した条件で、やる気のある生徒にのみ受講する許可を出し、また、学年は関係なしに同じことを教えていくつもりだ。
 夕飯を食べるために訪れた広間で教員用の椅子に腰を下ろし、羽ペンという使いにくい筆記用具で、羊皮紙に名前を書き込んでいく。最後の一人の名前を書き終えたときにようやく、隣に一人の男性が座っていることに気がついた。

「やあ。君が新人くんかい?」

 人好きしそうな笑顔で話しかけてきた彼を警戒したのは、今の今まで彼の存在に気づくことができなかったからだ。故意に気配を消していなければ、いくら油断していたとはいえ、隣に誰かが座れば気がつくだろう。なぜ気配を消して近づいてきたのだろうと怪しみながら、自己紹介してきた男の名前を反芻する。トム・リドルというありきたりな名前と、ヴォルデモートという厳ついニックネームには聞き覚えがあり、思わず彼の顔を凝視すると「そんなに見つめられると穴が開きそうだよ」と言われたので慌てて視線を逸らして謝罪した。

130111
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