ホグワーツ

 にこやかに笑う老人にすすめられた紅茶に手をつけることなく、居心地悪くやわらかなソファーに腰を下ろしていた。老人の隣には私が気絶させてしまった男が座っていて、私と視線が絡むと、男は改まった様子で頭を下げる。倒れていたとこを助けてくれてありがとうという男に、倒れさせたのも私だけれどと心の中で付け足すも、わざわざ自分の悪評を教えるお人好しではないので、頷く程度に留めた。

「さてはて。お主はホグワーツの生徒ではないようじゃが」
「……ホグワーツ?」
「そう、ここはホグワーツ魔法魔術学校といい、魔法使いと魔女を育てておる。非魔法使いであるマグルには、この学校が廃虚に見えるよう、ちょいと仕掛けがしてあってのう……端的に言わせてもらうと、お主には魔女としての素質があるようじゃ」

 ホグワーツ、魔法使い、マグル、魔女。耳慣れないキーワードだけでおおよそを理解することができたのは、ここがハリーポッターの世界だと気づいたからだ。アルバス・ダンブルドアと名乗る老人にホグワーツの入学をすすめられ、年齢を理由に断ると、それなら教師をしてみる気はないかとすすめられる。過去に教師を勤めたことはあるが、ホグワーツで私が教えられることはないと言うと、目の前の老人は楽しそうに笑った。

130109
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