風紀委員の仕事2 写真の少年は、相当な問題児らしい。遅刻、赤点の常習犯から始まり、最近では同級生や他校生と喧嘩をしたり、教師にたいする態度が悪化していて、風紀委員が何度注意をしても、制裁を下しても、彼が懲りる様子はないようだ。雲雀くんが直々に咬み殺したこともあると言っていたので、ある意味では根性を持った少年なのだろう。一つ、気になることがあるとすれば―― 「彼が荒れ始めたのは、ここ数ヶ月の話なんですね。それまでは真面目な生徒だったのに、なにかあったのでしょうか?」 「理由なんて、どうでもいいよ。ただ、彼が君と話したいと言っていてね」 「……私と?」 パチリと瞬きをすると、雲雀くんは短く相づちを打って、立ち上がる。どうやら、今から例の彼に会うらしい。仕草だけでついてくるように促した雲雀くんは、私がついてきていることを確認することなく、足を進める。 雲雀くんに連れられて来た場所は校舎裏で、授業時間であるにも関わらずそこに立っている男子生徒はゆっくり顔を上げた。瞼の上には痛々しい青あざをこさえ、腕や足にいくつもの包帯を巻いている彼こそが、問題児、森拓海で、前髪の下から覗く彼の瞳は、写真と同じように、燃えるような赤い色をしていた。 130105 次のページ# 目次/しおりを挟む [top] |