変わりゆく中での不変

 十年経った自分は大人に近づいたかと尋ねるランボの言葉を肯定すると、彼はとても嬉しそうに笑い紅葉のような手で私の手を握り締める。私に近づきたくて早く大人になったのだというランボの告白に目を丸くすると、忠誠を誓うかのように手の甲にキスが落とされた。

「ヘンリーさんをお守りしたい」

 五歳児とは思えない目をしているランボの顔が近づいてきて、彼の唇が私の頬に触れようとした瞬間黒光りする紐がランボの体に巻きつく。紐だと思ったそれが鞭であることに気づいたときにはランボの頭に拳骨が落ちていて、がまんと呟きながら大泣きしているランボに小さく笑みが零れた。十年経っても、ランボの根本は変わっていないみたいだ。
 声を押し殺して泣くランボに手を伸ばしながら、ランボを鞭で縛り上げた人物に目を向ける。彼はマフィアのボスであり、部下の前では素晴らしい跳ね馬になるが、普段はへなちょこなディーノだ。へなちょこディーノの見事な鞭さばきに首を傾げていると、目の前までディーノが歩いてくる。不機嫌な顔をして額にデコピンをしてきたディーノは、腕に抱えたランボを左手で鷲掴み、右手で私の手を握り締めた。

「もうちょっと、警戒心をもてよ」
「え?」
「……なんでもねーよ」

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