早く終わらせる ご飯を食べるのには十分もかからず、お弁当の蓋をしめると体育教師の彼に、応接室に行くので失礼しますと会釈する。風紀委員を連想させて顔をひきつらせた彼に気づくことなく応接室に向かうと、そこには雲雀くんがいて窓の外を眺めながらおにぎりを食べている彼に一言挨拶をしてから、今日の仕事にとりかかる。山ほどの書類を見て、どうして毎日こんなに仕事が増えるのだろうと疑問を抱きながらも、しっかり手は動かした。 「今日はいつもより仕事の手が速いね」 「放課後に予定があるので、早く終わらせてしまおうと思いまして」 「予定?」 「ボスの家で、チョコレートを作る予定です。雲雀くんもいりますか?」 動かしていたペンを止めて顔を上げると、雲雀くんと視線が絡む。少し悩むように顎に手を当てた彼は「気が向いたら」とだけ答えて自分の手元に視線を落とし、それきり彼と目が合うことはなかった。 風紀委員の仕事を終わらせ、午後の授業に一生懸命取り組み、ハルさんを学校まで迎えに行って、そのままボスの家に向かう。場所を提供してくれた奈々さんに感謝をし、ビアンキさんの教えを受け、途中ちょっとしたトラブルもあったが、チョコレート作りは無事に終わった。 121224 次のページ# 目次/しおりを挟む [top] |