ハッピーバレンタイン

 野球部の朝練がないという山本くんと一緒に登校していたのだが、学校に着いた途端女の子に囲まれた彼とはぐれてしまった。今日はバレンタインで、漫画のような山本くんの人気ぶりに圧倒されるも、彼の人柄のよさを目の当たりにしているようで笑みが浮かぶ。

「ヘンリー先生、チョコくださいよ」
「俺も俺も!」
「恵まれない生徒に愛の手を!」

 授業のたびに繰り返されるやり取りにはいい加減慣れてしまい、チョコの代わりに飴を一つずつ渡していく。なんで飴!? という抗議の声をスルーして、女の子にも飴をプレゼントする。女の子たちは素直に喜んでくれ、食べるのは授業が終わってからにするようにと言ってから、男女に分かれて授業を開始した。
 午前の授業が終わり、生徒と一緒に用具を片付け職員室に戻ろうとすると、同じ体育教員であり、男子を担当している先生に声をかけられる。なにか連絡だろうかと足を止めると、お昼を一緒に食べないかと誘われた。彼とは名前も思い出せない程度の仲で、なぜ誘われたのかわからず首を傾げているうちに、彼とお昼をともにすることが決定し、了承をした覚えはないが、今さら断るのも気が引けて、中庭で一緒に食事をした。

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