振り向かないで

 今日の授業が終わり一息吐いていると、校内放送が流れた。いつものように応接室に呼び出され、今度はなにを頼まれるのだろうと肩を落とす暇もなく、顔を青くした教師に早く応接室へ行くよう背中を押される。
 雲雀くんの頼み事が済んだらそのまま帰ろうと、上着と荷物を手に応接室に訪れると、そこには雲雀くんがいた。風紀委員の人に言伝を頼んだり、書き置きだけを残して本人はいなかったり、とにかく、放課後に雲雀くんが応接室にいるのは珍しい。

「雲雀くん?」
「荷物は持ってきているようだね。じゃあ、少し付き合ってもらうよ」

 腕を掴まれたと思うと、雲雀くんは当然のように窓から飛び降り、思わず口から悲鳴が出た。例え屋上から飛び降りようと平気でいる自信はあるが、突然飛び降りるのは止めて欲しい。胸を撫で下ろして彼の後をついていくと、雲雀くんは当然のようにトンファーを取り出し、近くにいる生徒に殴りかかる。驚いて目を丸くしているうちに生徒をのしてしまった雲雀くんは、私の腕を引く。けれど私の目は倒れ込む生徒に釘付けで、足が動かない。怪しむように眉を動かした雲雀くんが言葉を発する前に、彼の腕を振り解いて、走り出していた。

121218
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