ひょんとこな所から

 生徒だと思ったという彼らの言葉に、山本くんがおかしそうに笑う。私を見るのが初めての生徒は物珍しそうに観察してきて、首をすくめると山本くんの手が頭に乗り、今日はお疲れさまと労ってくれ、そちらこそと言葉を返していると、私の受け持ちのクラスメイトである佐藤くんが「二人って仲がいいんですね」と声をかけ、教師をする前からの知り合いだと説明すると、彼らは親近感を覚えたのか、砕けた接し方をしてくれた。

「そういえば、今度の授業参観って、ヘンリー先生の授業なんだよね?」
「うん、そうです。保健の授業をやるつもりなので、ちゃんと予習しておいてくださいね」

 テンプレのような言葉に、素直に返事をする生徒と、嫌そうな顔をする生徒。あからさまな違いに思わず笑うと、つられたようにみんなも笑うから、知らずうちに表情が緩んだ。
 これからコンビニで買い食いをして帰るという野球部のみんなを見送ろうとすると、就任祝いに肉まんを奢ってやると佐藤くんが腕を引っ張り、どう返事をするのが一番だろうかと視線を彷徨わせていると、山本くんや他のみんなも一緒に行こうと声をかけてくれ、考えるよりも先に頷いていた。さすがに生徒に奢らせることはしなかったが、大勢でわいわいと楽しんだ。

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